アインシュタイン方程式とは

/相対論

アインシュタイン方程式

アインシュタイン方程式とは、アルベルト・アインシュタインによって導入された万有引力と重力場を記述する場の方程式です。一般相対性理論において万有引力は、時空連続体の歪みとして説明されます。

平らな空間では、測地線は直線となり質点は直線に沿って運動します。一方、平らでない空間では、アインシュタイン方程式は曲率を表し、質点は測地線に沿って運動します。

物質のない場合

ここでの物質のない空間とは、物質だけでなく、重力場の他にどのような物理的な場も存在しないことを意味します。この場合、アインシュタイン方程式はリッチ・テンソルを0であると仮定することで得られます。

$$R_{ij}=0  -①$$

尚、リッチテンソルはリーマン曲率テンソルの縮約として、

$$R_{ij}\equiv R^k_{ijk}=\Gamma_{ik,j}^k-\Gamma_{ij,k}^k+\Gamma_{ik}^m\Gamma_{mj}^k-\Gamma_{ij}^m\Gamma_{mk}^k$$

クリストッフェル記号は以下で定義されます。

$$\Gamma^i_{jk}\equiv g^{il}\Gamma_{ljk}=\frac{1}{2}g^{il}\left(\frac{\partial g_{lj}}{\partial x^k}+ \frac{\partial g_{lk}}{\partial x^j}-\frac{\partial g_{jk}}{\partial x^l}\right)$$

$$ds^2=g_{ij}dx^idx^j$$

アインシュタイン方程式は、2階の微分方程式ですが、非線形であるため正確な解を得るのが難しくなっています。しかし例外として、静止した球対称な物体が作る場の場合は、正確な解(シュバルツシルド解)を得ることができます。

アインシュタインの重力理論は、重力が小さく、速度が光速に比べ遅い場合は、ニュートン力学に近似されます。

物質のある場合

物質または重力場以外の場が存在する場合は、アインシュタイン方程式は以下で得られます。この左辺は時空の曲率を表す幾何学量であり、右辺は物質の分布を表す量です。

$$R_{ij}-\frac{1}{2}Rg_{ij}=\kappa T_{ij}  -②$$$$\kappa\equiv\frac{8\pi}{c^4}G$$

スカラー曲率 $R$ は、リッチテンソルの縮約として得られます。

$$R\equiv R_{ii}$$

物質が存在しない場合、②は以下になりますが、$R=0$ であるため①と等しくなります。

$$R_{ij}-\frac{1}{2}Rg_{ij}=0$$

エネルギー・運動量テンソル

テンソル $T^{ij}$ は、非重力的なエネルギーと運動量の密度($T^{i0}$)と流速($T^{ij(\ne0)}$)と解釈することができます。②の右辺は、リッチテンソルのビアンキの関係式

$$\Big(R^{ij}-\frac{1}{2}Rg^{ij}\Big)_{:j}=0$$

が成り立つため、②の左辺は以下で表されます。

$$T^{ij}_{:j}=0$$

空間が平らな場合は以下になり、この式はエネルギーと運動量の保存則を表します。

$$\frac{\partial T^{ij}}{\partial x^j}=0$$

一方、空間が曲がっている場合は、エネルギーと運動量の保存は近似的にしか成り立ちません。これは重力場が物質に作用し、自身もエネルギーと運動量とを担うためです。

宇宙項

宇宙項とは、膨張や収縮を起こさない静止宇宙モデルを実現するため、アインシュタインにより導入されました。アインシュタイン方程式は、宇宙定数 $\Lambda$ により以下のように書き替えられます。

$$R_{ij}-\frac{1}{2}Rg_{ij}+\Lambda g_{ij}=\kappa T_{ij}$$

宇宙項は、宇宙定数の符号が負の場合は重力(万有引力)として、正の場合は反重力(万有斥力)として機能します。宇宙膨張の加速の原因として提案されているダークエネルギーは、方程式上は宇宙項に相当します。

一般相対性理論

相対性理論とは、互いに運動する座標系(観測者)から見ても、物理学の法則は変わらないとする原理(考え方)です。アインシュタインは1915~1916年に、以下の2つの原理に基づく一般相対論を発表しました。

  • 一般相対性原理(一般共変性原理)
  • 等価原理

一般相対性原理とは、全ての座標系において物理学の法則は変わらないとする原理です。全ての座標系とは、慣性系の他、加速度系なども全て含めることになります。そのため数学的には、全ての物理法則はテンソル形式で記述する必要があります。

等価原理とは、慣性質量と重力質量が同一であることを表しています。慣性質量とはニュートンの運動方程式($F=ma$)の力 $F$ に抗する質量 $m$ で、重力質量とは重力に引っ張られる力($F=mg$)に比例する質量 $m$ です。言い換えると、地上に落下する物体の速度は、その質量に依らず一定であると言うことができます。

また、等価原理は、運動の加速度と重力加速度は区別できないと言うこともできます。例えば、閉鎖された部屋の中で重力加速度 $g$ を感じている場合、それが地球の重力によるものか、加速度運動によるものか区別的ないというものです。

 

物理学
力学、電磁気学、相対論、熱・統計力学、量子力学、物性論、電子工学、プラズマ物理、連続体力学、場の量子論、弦理論
散策路TOP
数学、応用数学、古典物理、量子力学、物性論、電子工学、IT、力学、電磁気学、熱・統計力学、連続体力学、解析学、代数学、幾何学、統計学、論理・基礎論、プラズマ物理、量子コンピュータ、情報・暗号、機械学習、金融・ゲーム理論

 

タイトルとURLをコピーしました