波動方程式とは

/連続体力学

波動方程式

波動方程式とは、波の時間変化と空間変化との関係を表す偏微分方程式であり、音波・弦の振動・電磁波など様々な波動現象を記述します。波動方程式は以下で表されます。

$$\frac{\partial^2y}{\partial x^2}=\frac{1}{c^2}\frac{\partial^2y}{\partial t^2}  -①$$$$c=\sqrt{\frac{T}{\mu}}$$

ここで、$L$ は弦の長さ、$\mu$ は弦の線密度($\mathrm{kg/m}$)、$T$ は $x$ 軸方向の弦の張力($\mathrm{N}$)です。①の左辺は、空間方向の曲がり具合を表し、右辺は、時間方向の加速度を表します。

波動方程式の導出

ニュートンの運動方程式 $F=ma$ を基に考えます。

この右辺は、弦の素片の質量 $\mu\Delta x$ と、$y$ 軸方向の変位の加速度により、

$$ma=\mu\Delta x\frac{\partial^2y}{\partial t^2}$$

弦の素片に働く力は、その両端の張力の差になります。弦の方向と $y$ 軸のなす角度を $\theta$ とします。振幅が十分に小さいとすると、$\theta\ll1$ より、

$$\sin{\theta}\cong\tan{\theta}\cong\frac{\Delta y}{\Delta x}$$

ここで、$\Delta x\to0$ とすると、

$$F=T\sin{\theta’}-T\sin{\theta}$$$$\cong T\frac{\Delta y}{\Delta x}(x+\Delta x)-T\frac{\Delta y}{\Delta x}(x)\cong T\Delta x\frac{\partial^2y}{\partial x^2}$$

最後はテイラー展開を使いました。これらにより、ニュートン運動方程式は以下になります。

$$T\Delta x\frac{\partial^2y}{\partial x^2}=\mu\Delta x\frac{\partial^2y}{\partial t^2}$$

波の一般解

この波動方程式の一般解は以下で表されます。ここで、第1項は右向き($+x$ 方向)に速度 $c$ で進む波、第2項は左向き($−x$ 方向)に速度 $c$ で進む波を表します。

$$y(x,t)=f(x-ct)+g(x+ct)$$$$=f(kx-\omega t)+g(kx+\omega t)$$

ここで、$v$ は波の速度(位相速度)、$\omega$ は角振動数($\mathrm{rad/s}$)、$k$ は波数($\mathrm{rad/m}$)、$\nu$ は振動数、$\lambda$ は波長です。それぞれの関係は以下になります。

$$c=\frac{\omega}{k}=\nu\lambda$$$$\omega=2\pi\nu$$$$k=\frac{2\pi}{\lambda}$$

境界条件

弦の両端が固定端の場合の境界条件は、

$$y(0,t)=y(L,t)=0$$

両端固定では、境界条件を満たす固有振動だけが存在できます。それらを重ね合わせることで任意の振動を表せます。ここで、$\omega_n$ は固有角振動数です。

$$y(x,t)=\sum_{n=1}^\infty A_n\sin{\frac{n\pi x}{L}}\sin{(\omega_nt+\alpha_n)}$$$$\omega_n=\frac{n\pi c}{L}$$

導出

境界条件より、任意の波形は以下のフーリエ級数で表すことができます。

$$y(x)=\sum_{n=0}^\infty a_n\sin{\frac{n\pi x}{L}}$$

これを①に代入すると、

$$\frac{d^2a_n}{dt^2}+\Big(\frac{n\pi c}{L}\Big)^2a_n=0$$

これを解くと以下になります。

$$a_n=A_n\sin{\Big(\frac{n\pi ct}{L}+\alpha_n\Big)}$$

群速度

群速度とは、波束(波の包絡線)の伝わる速度です。多くの物理系では、エネルギーや情報は一般に群速度で伝わります。非分散媒質では群速度と位相速度は一致します。

角振動数と波数の近い2つの波を重ね合わせると、

$$y=A\Big(\sin{(\omega_1t-k_1x)}+\sin{(\omega_2t-k_2x)}\Big)$$$$=2A\sin{\Big(\frac{\omega_1+\omega_2}{2}t-\frac{k_1+k_2}{2}x\Big)}\cos{\Big(\frac{\omega_1-\omega_2}{2}t-\frac{k_1-k_2}{2}x\Big)}  -②$$

これは波長の短い波($\omega_1+\omega_2$ と $k_1+k_2$)の振幅が、波長の長い波($\omega_1-\omega_2$ と $k_1-k_2$)の周期で振動しているように見えます。この長い波長の波を「うねり」と呼びます。このとき群速度(うねりの速度)は以下で表されます。

$$v=\frac{\omega_1-\omega_2}{k_1-k_2}=\frac{d\omega}{dk}$$

尚、②の計算は以下の公式を使いました。

$$\sin{(\alpha+\beta)}+\sin{(\alpha-\beta)}=2\sin{\alpha}\sin{\beta}$$

波のエネルギー

波のエネルギーは、波を伝える媒体の運動エネルギーと変形による位置エネルギーで、正弦波の時間平均エネルギー流束(強度)として得られます。振幅を $A$ 、質量を $m$ とすると、単振動のエネルギー $I$ は以下で表されるため、

$$I=\frac{m\omega^2A^2}{2}$$

単位面積を通過する波のエネルギーは、$m=\rho c$( $c$ は波の速度)より、以下で表されます。

$$I=\frac{\rho c\omega^2A^2}{2}$$

 

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