クリストッフェル記号とは

/幾何学

クリストッフェル記号とは

クリストッフェル記号とは、曲面座標(リーマン幾何学)での微分を表記するための記号で、これによりシンプルな形での表記が可能となります。

4次元空間のベクトル $A_i$ を平行移動($x\to x+dx$)させたときの変化分 $dA_i$ は、クリトッフェル記号 $\Gamma_{ijk}$ を用いて以下で表すことができます。

$$dA_j=A^i\Gamma_{ijk}dx^k  -①$$

クリトッフェル記号(第1種クリストッフェル記号)は以下で定義されます。

$$\Gamma_{ijk}\equiv\frac{1}{2}\left(\frac{\partial g_{ij}}{\partial x^k}+ \frac{\partial g_{ik}}{\partial x^j}-\frac{\partial g_{jk}}{\partial x^i}\right)$$

ここで、$g_{ij}$ は曲面座標での計量で、点 $x^i$ とその近くの点 $x^i+dx^i$ の間の不変距離 $ds$ は以下で表されます。

$$ds^2=g_{ij}dx^idx^j$$

また、第2種クリストッフェル記号は以下で定義され、

$$\Gamma^i_{jk}\equiv g^{il}\Gamma_{ljk}$$

これにより①は以下のようになります。

$$dA_j=A_i\Gamma^i_{jk}dx^k$$

クリストッフェル記号を導く

4次元ベクトルの平行移動($A_j\to K_j$)による変化を考えます。

$$dA_j=K_j(x+dx)-A_j(x)  -②$$

n次元空間

空間が曲がっていると2点間のベクトルの「平行」に意味がないため、4次元の物理空間が高次元(N次元)の平らな空間($y^n$)に埋めこまれているとして考えます。このとき、2つの座標系の変換は以下で表されます。尚、見やすくするため、以降は微分の表記を変更します。

$$\delta y^n=\frac{\partial y^n}{\partial x^i}\delta x^i\equiv y^n_{,i}\delta x^i$$

2点間の距離は以下で表されます。$n$ 次元空間は平らであるため、計量($h_{mn}$)は定数となります。

$$ds^2=h_{nm}\delta y^n\delta y^m=h_{nm}y^n_{,i}y^m_{,j}\delta x^i\delta x^j=g_{ij}\delta x^i\delta x^j$$

計量 $h$ で添え字を下げると、以下が得られます。

$$g_{ij}=h_{nm}y^n_{,i}y^m_{,j}=y^n_{,i}y_{n,j}  -③$$

また、4次元空間のベクトル($A^i$)は2つの座標間で以下のように変換されます。

$$A^n(y)=y^n_{,i}(x)A^i(x)  -④$$

平行移動

ベクトル($A^n$)を自身に対して平行移動すると、4次元の「曲面」内には収まらなくなります。そのため、曲面内に含まれる接線部($A_{\parallel}$)とそれ以外の法線部($A_{\perp}$)に分けます。

$$A^n=A_{\parallel}^n+A_{\perp}^n  -⑤$$

この接線部に対応する $x$ 座標系のベクトルを $K$ とすると、④と同様に以下が成り立ちます。

$$A_{\parallel}^n=y^n_{,i}(x+dx)K^i(x+dx)  -⑥$$

接線部と法線部は直交するため内積は0になり、⑥を代入し、

$$0=h_{mn}A_{\parallel}^mA_{\perp}^n=h_{mn}y^m_{,j}(x+dx)K^j(x+dx)A_{\perp}^n$$

この式は任意の $K^i$ に対し成り立つため、計量 $h$ で添え字を下げると以下が導かれます。

$$y_{n,j}(x+dx)A_{\perp}^n=0  -⑦$$

ここで $y_{n,j}(x+dx)$ について1次まで展開すると、

$$y_{n,j}(x+dx)=y_{n,j}(x)+y_{n,jk}dx^k  -⑧$$

さらに、$y_{n,j}(x+dx)$ を⑤に掛けると、⑦より法線部が0になり、接線部に⑥を代入すると、

$$A^ny_{n,j}(x+dx)=y^n_{,i}(x+dx)K^i(x+dx)y_{n,j}(x+dx)$$

これに③を代入すると、

$$A^ny_{n,j}(x+dx)=g_{ij}(x+dx)K^i(x+dx)=K_j(x+dx)$$

この左辺に④と⑧を代入すると、

$$y^n_{,i}(x)A^i(x)(y_{n,j}(x)+y_{n,jk}dx^k)=K_j(x+dx)$$

さらに左辺第1項に③を使うと、

$$A_j(x)+y^n_{,i}(x)A^i(x)y_{n,jk}dx^k=K_j(x+dx)$$

これと②より、以下が導かれます。

$$dA_j=A^i(x)y^n_{,i}y_{n,jk}dx^k  -⑨$$

計量での表記

次に、⑨を計量で表記します。まず、③を $k$ で微分し、第1項の添字 $n$ の上下を入れ替えます。$n$ 次元空間の計量は定数であるため、添字の上下を入れ替えることができます。

$$g_{ij,k}=y^n_{,ik}y_{n,j}+y^n_{,i}y_{n,jk}=y_{n,ik}y^n_{,j}+y^n_{,i}y_{n,jk}  -⑩$$

さらに⑩で、$i$ と $k$ の交換(⑪)、$j$ と $k$ の交換(⑫)を行うと、

$$g_{kj,i}=y_{n,ki}y^n_{,j}+y^n_{,k}y_{n,ji}  -⑪$$

$$g_{ik,j}=y_{n,ij}y^n_{,k}+y^n_{,i}y_{n,kj}  -⑫$$

⑩+⑫-⑪を計算すると、微分の順番は交換できるため、⑨の右辺が導かれます。

$$g_{ij,k}+g_{ik,j}-g_{kj,i}=2y^n_{,i}y_{n,jk}$$

計量は対称であるため、左辺第3項の添え字を入れ替えると、第1種クリストッフェル記号の形になります。

 

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