観音経偈を読む

/仏典

観音経偈とは

観音経は、法華経の中の「観世音菩薩普門品第二十五」という1つの章です。観音経偈は、観音経の内容を、偈(げ)と呼ばれる4句の韻文の形でまとめたものです。

観音経では、観世音(観音菩薩)の名前を唱えることにより得られる様々なご利益が語られています。

観音経を読む
妙法蓮華経、観世音菩薩普門品、第二十五、無尽意菩薩

観音経偈を読む

世尊妙相具せそんみょうそうぐ、我今重問彼がこんじゅうもんぴ、仏子何因縁ぶっしがいんねん、名為観世音みょういかんぜおん

釈尊さまは優れたお姿をしておられるが、私は今重ねてお尋ねしたい、釈尊さまはどういう理由で、観世音(観音菩薩)と名付けられたのか。

  • 妙相具:仏の円満で優れたお姿(三十二相・八十種好)を備えていること。
  • 仏子:仏の教えを継ぐ者(ここでは観世音菩薩)。
  • 因縁:原因と条件、由来や理由。
  • 観世音:「観」は観察・洞察、「世音」は世の中の苦しみの声・叫び。
    単に耳で聴くのではなく、智慧の眼で音(苦しみ)を観察し、即座に手を差し伸べる存在であることを示します。
具足妙相尊ぐそくみょうそうそん、偈答無尽意げとうむじんい、汝聴観音行にょちょうかんのんぎょう、善応諸方所ぜんのうしょほうしょ

優れた姿の釈尊は、偈の形で無尽意菩薩に答えられた。観世音の修行がどんなに優れているかよく聞きなさい。

  • 偈:仏典における詩文の形式。
  • 観音行:観音菩薩の慈悲の実践や救いの働き。
  • 善応諸方所:あらゆる場所・境遇に巧みに応じること。
  • 応現身(おうげんしん)の思想
    観音菩薩は「一方的な救い」を与えるのではなく、相手の状況、苦しみの性質、相手の能力や心の状態に合わせて姿や方法を変えます。これを「善応」(よく応ずる)と表現します。
弘誓深如海ぐぜいじんにょかい、歴劫不思議りゃっこうふしぎ、侍多千億仏じたせんのくぶつ、発大清浄願ほっだいしょうじょうがん

誓いは海のように深く、どれ程の時間を掛けても人間の知恵は及ばない。千億の仏たちにお仕えし、大いなる清らかな願いを起こした。

  • 弘誓:広くすべての人々を救おうとする大きな誓い。
  • 歴劫:「劫」という途方もなく長い時間をいくつも経ること。
  • 大清浄願:私利私欲や執着が一切ない、純粋な救いの誓い。
  • 無量・無限の修行
    観音菩薩の慈悲の力は、一朝一夕に得られたものではありません。無限の時間をかけ、想像も及ばない数の仏のもとで真摯に修行を積み重ねてきた積み重ね(功徳の深さ)が、「海のように深い誓願」の源泉になっています。
我為汝略説がいにょりゃくせつ、聞名及見身もんみょうぎゅうけんしん、心念不空過しんねんふくうか、能滅諸有苦のうめつしょうく

私はあなたに説明しよう。その名を聞きその姿を見て、心に念じて空しく過ごすことがなければ、あらゆる苦しみは消滅する。

  • 心念不空過:心に思い浮かべて念ずれば、決して無駄にはならないこと。
  • 諸有苦:迷いの世界(有)に存在するあらゆる苦しみ。
  • 感応道交(かんのうどうこう)の原理
    救いは観音菩薩からの一方通行ではありません。信じて念じる心と観音の慈悲が重なり合った時(感応した時)苦しみが消滅します。
  • 苦しみの本質からの解放
    「苦を滅す」とは、現実の災難を取り除くことだけでなく、執着に囚われている自分の心を和らげ、安心を得させるという精神的な救済も意味します。
仮使興害意けしこうがいい、推落大火坑すいらくだいかきょう、念彼観音力ねんぴかんのんりき、火坑変成池かきょうへんじょうち

たとえ悪意をもって、大火の穴に落とされても、観世音の力を念ずれば、火の穴はたちまち池に変わる。

  • 害意:害意・殺意・悪意。
  • 大火坑:大きな火の穴、燃えさかる炎の穴。
  • 念彼観音力:観音の慈悲の力を信じ、自分の心に観音の慈悲を持つこと。
  • 心境の解釈
    「大火坑」は、怒りや憎しみ、妬みなどの怒りの心の象徴です。怒りの炎に焼かれそうになった時、観音を念じることで、燃えさかる心は静寂・安らぎへと変化します。
或漂流巨海わくひょうるこかい、龍魚諸鬼難りゅうぎょしょきなん、念彼観音力ねんぴかんのんりき、波浪不能没はろうふのうもつ

あるいは大海を漂流して、龍や怪魚や鬼に襲われても、観世音の力を念ずれば、波の中に没することはない。

  • 巨海:大海原。
  • 龍魚諸鬼:海に住む恐ろしい龍や怪物、悪鬼。
  • 波浪:苦悩やむさぼりの心を「波」として表す。
  • 心境の解釈
    欲望の荒波に呑まれ、迷いの深海に沈みそうな時でも、観音の慈悲を念じることで心が揺らぐことなく救われます。
或在須弥峰わくざいしゅみぶ、為人所推堕いにんしょすいだ、念彼観音力ねんぴかんのんりき、如日虚空住にょにちこくうじゅう

あるいは須弥山から、突き落とされても、観世音の力を念ずれば、日輪の如く空中に留まる。

  • 須弥峰:仏教の世界観における世界の中心にある高い山。
  • 如日虚空住:太陽が空に浮かんで留まっているかのように落ちない。
  • 心境の解釈
    「高い山」は慢心・傲慢の象徴です。人生の急転落に遭ったとしても、おごりを捨て観音を念ずることで、心を空のように広げ、絶望のどん底に落ちずにすむことを表します。
或被悪人逐わくひあくにんちく、堕落金剛山だらくこんごうせん、念彼観音力ねんぴかんのんりき、不能損一毛ふのうそんいちもう

あるいは悪人に追われ、金剛山から落ちても、観世音の力を念ずれば、髪の毛一本も損なわれない。

  • 被……逐:悪人に追い詰められること。
  • 金剛山:険しい岩山・鉄の山の象徴。
  • 心境の解釈
    社会の理不尽な迫害や、他者の悪意によって追い詰められる状況であっても、心の中に観音の慈悲があれば、本質的な自己(仏性)は傷つけられないことを表します。
或値怨賊繞わくちおんぞくにょう、各執刀加害かくしゅうとうかがい、念彼観音力ねんぴかんのんりき、咸即起慈心げんそくきじしん

あるいは賊に囲まれ、刀で害されそうになっても、観世音の力を念ずれば、たちまち慈しみの心が起きる。

  • 怨賊:恨みを持つ敵や強盗・賊。
  • 咸即起慈心:皆ことごとく、たちまち慈悲の心を起こす。
  • 心境の解釈
    憎しみに対して憎しみで返せば争いは永遠に続きます。しかし、こちらが観音の慈悲の心で対峙することで、相手の殺気や憎悪をも和らげ、和解へと導く「慈悲による悪の転換」を表します。
或遭王難苦わくそうおうなんぐ、臨刑欲寿終りんぎょうよくじゅしゅう、念彼観音力ねんぴかんのんりき、刀尋段段壊とうじんだんだんね

あるいは王に捕えられ、刑により寿命が終わろうとしても、観世音の力を念ずれば、刀がばらばらに壊れてしまう。

  • 王難: 国家権力や無実の罪、権力者からの迫害・処罰。
  • 臨刑:刑場に臨んで処刑されようとすること。
  • 心境の解釈
    どのような理不尽な死の恐怖に直面しても、観音の力への信順があれば、恐怖の刃は砕け散り、解脱が得られることを意味します。
或囚禁枷鎖わくしゅうきんかさ、手足被杻械しゅそくひちゅうかい、念彼観音力ねんぴかんのんりき、釈然得解脱しゃくねんとくげだつ

あるいは囚われ鎖につながれて、手足に枷(かせ)を嵌められても、観世音の力を念ずれば、たちまちに解き放たれる。

  • 枷鎖:首かせと鎖。
  • 杻械:手かせと足かせ。自分への執着など自分の心を縛るものの象徴。
  • 釈然:つかえが取れてサッと解け去る様。
  • 心境の解釈
    自己の執着(心の拘束)が解き放たれ、絶対的な精神的自由(解脱)が得られることを意味します。
呪詛諸毒薬しゅそしょどくやく、所欲害身者しょよくがいしんしゃ、念彼観音力ねんぴかんのんりき、還著於本人げんじゃくおほんにん

呪いや毒薬のため、身が害されそうになっても、観世音の力を念ずれば、それは殺そうとした本人に還っていく。

  • 呪詛:人を呪うこと、悪意の祈願。
  • 還著於本人: 跳ね返って当人に戻る。
  • 心境の解釈
    観音の境地に立つ者に対しては、他者の悪意は一切作用せず、悪意を出した者自身が自らの作った悪業によって自滅していくという真理(因果応報)を示しています。
或遇悪羅刹わくぐうあくらせつ、毒龍諸鬼等どくりゅうしょきとう、念彼観音力ねんぴかんのんりき、時悉不敢害じしっぷかんがい

あるいは悪魔や、毒龍や鬼などに遭っても、観世音の力を念ずれば、その時それらは害を与えなくなる。

  • 羅刹:人を喰らうとされる恐ろしい人食い鬼。
  • 悉不敢害:皆ことごとく害することができなくなる。
  • 心境の解釈
    羅刹や諸鬼は、恐怖心や精神的トラウマの象徴です。正しい智慧と慈悲の心をしっかり持っていれば、恐ろしい妄想に支配されることはないとされます。
若悪獣囲繞にゃくあくじゅういにょう、利牙爪可怖りげそうかふ、念彼観音力ねんぴかんのんりき、疾走無辺方しっそうむへんぽう

もしくは悪獣に囲まれて、牙や爪を怖れるときも、観世音の力を念ずれば、遠くへ走り去ってしまう。

  • 囲繞:周囲を取り囲まれること。
  • 疾走無辺方:彼方へと走り去る。
  • 心境の解釈
    猛獣の鋭い牙や爪は、暴力を表します。観音の慈悲の前に、粗暴な攻撃性は威力を失い、退散せざるを得なくなります。
蚖蛇及蝮蠍がんじゃぎゅうぶっかつ、気毒煙火燃けどくえんかねん、念彼観音力ねんぴかんのんりき、尋声自回去じんしょうじえこう

蜥蜴(とかげ)や蛇、蝮(まむし)や蠍(さそり)が、毒気を煙火のように吐いても、観世音の力を念ずれば、その声を聞くや自ら去ってしまう。

  • 蚖蛇・蝮蠍:マムシやサソリ。
  • 自回去:自ら向きを変えて去っていく。
  • 心境の解釈
    毒蛇やサソリは陰湿な悪意の象徴です。観音の名を唱えることによって自らの心を清浄に保てば、陰湿な悪意は自ずと離れていきます。
雲雷鼓掣電うんらいくせいでん、降雹澍大雨ごうばくじゅだう、念彼観音力ねんぴかんのんりき、応時得消散おうじとくしょうさん

雷が轟き稲妻が光り、雹(あられ)や大雨が降っても、観世音の力を念ずれば、たちまち消え去ってしまう。

  • 掣電:稲妻が光り走ること。
  • 澍大雨:大雨を降り注ぐこと。
  • 心境の解釈
    嵐や雷は、人間の力ではコントロールできない不運・災難を象徴しています。外の世界がどんなに大荒れでも、心の中に観音の慈悲と平静を保つことで、心の中の恐怖は消えて静寂を取り戻すことができます。
衆生被困厄しゅじょうひこんやく、無量苦逼身むりょうくひっしん、観音妙智力かんのんみょうちりき、能救世間苦のうぐせけんく

人々が困難に遭い、様々な苦しみに攻められているとき、観世音の優れた智力は、人々の苦しみを救う。

  • 困厄:苦しみ、災難、行き詰まること。
  • 逼身:身体や心を強く圧迫し、痛めつけること。
  • 妙智力:仏・菩薩の不可思議で優れた智慧の力。
  • 苦しみの本質と救い
    衆生は、人生の中で計り知れない苦難に晒され、心身をすり減らしています。観音菩薩は単なる奇跡を起こすのではなく、その物事の真理を見抜く素晴らしい智慧の力もって、世の中のあらゆる苦しみを根本から救い取ります。
具足神通力ぐそくじんつうりき、広修智方便こうしゅちほうべん、十方諸国土じっぽうしょこくど、無刹不現身むせつふげんしん

神通力を具え、広く智恵を修得し、あらゆる方角の国にその姿を現す。現れない国はない。

  • 神通力:自由自在で超常的な力。
  • 智方便:智慧に基づいた巧みな救いの手段・方法。
  • 刹:土地・国土のこと。
  • 三十三身・自由自在な救済
    観音菩薩は、宇宙のあらゆる場所において、必要とされれば必ず姿を現して救うという、自由自在な救済者としての性質(普門)が示されています。
種種諸悪趣しゅじゅしょあくしゅ、地獄鬼畜生じごくきちくしょう、生老病死苦しょうろうびょうしく、以漸悉令滅いぜんしつりょうめつ

種々のあらゆる悪事、地獄・餓鬼・畜生、生・老・病・死の苦しみは、これを以ってことごとく消滅していく。

  • 悪趣:悪い報いとして生まれる苦しみの世界。
  • 生老病死苦:人間が避けることのできない四苦。
  • 以漸悉令滅:段階を経て、すべて消し去らせる。
  • 四苦八苦と六道輪廻からの解脱
    観音菩薩の救いは、人間が逃れられない根本的な苦しみ(四苦)に対しても、教化を通じて悟りへと導いていくという壮大な慈悲が説かれています。
真観清浄観しんかんしょうじょうかん、広大智慧観こうだいちえかん、悲観及慈観ひかんしょうじょうかん、常願常瞻仰じょうがんじょうせんごう

真実を観(み)て、清浄の観て、広大な智恵を観て、憐れみを観て、慈しみを観て、これを常に願い、常に仰ぎみるべきである。

  • 五観:観音菩薩が持つ5つの卓越した洞察力。
    • 真観: 物事のありのままの真理を見る眼。
    • 清浄観:煩悩や執着の汚れが一切ない清らかな眼。
    • 広大智慧観:あらゆる生きものを導く広く大きな智慧。
    • 悲観:人々の苦しみを抜き取ろうとする心。
    • 慈観:人々に楽しみや安らぎを与えようとする心。
  • 瞻仰:仰ぎ見ること、心から尊敬し慕うこと。
無垢清浄光むくしょうじょうこう、慧日破諸闇えにちはしょあん、能伏災風火のうぶくさいふうか、普明照世間ふみょうしょうせけん

無垢で清らかな光は、日輪のごとく全ての闇を除き、よく災いの風や火を伏せ、あまねく世間を明るく照らす。

  • 無垢清浄光:穢れや濁りが一切ない清らかな光。
  • 慧日:智慧を太陽に例えた言葉。
  • 破諸闇:無知や迷いを打ち破る。
悲体戒雷震ひたいかいらいしん、慈意妙大雲じいみょうだいうん、澍甘露法雨じゅかんろほうう、滅除煩悩焔めつじょぼんのうえん

憐れみの戒めは雷のように、慈しみの心は雲のように、甘露の説法を雨ごとく濯(そそ)いで、煩悩の焔(ほのお)を消滅させる。

  • 悲:苦しみを抜く心。
  • 慈:楽しみを与える心。
  • 甘露:不死・再生へ導く天の霊薬。
  • 煩悩焔:人々を苦しめる怒り・貪り・愚かさなどの煩悩。
諍訟経官処じょうしょうきょうかんしょ、怖畏軍陣中ふいぐんじんちゅう、念彼観音力ねんぴかんのんりき、衆怨悉退散しゅおんしったいさん

法廷で訴えられ、戦場で畏れ怖(お)じけずくも、観世音の力を念ずれば、あらゆる敵は退散する。

  • 諍訟:争いごと、裁判・訴訟。
  • 官処:役所、裁判所。
  • 怖畏軍陣中:恐ろしい戦場や争いの真っ只中。
  • 人間社会の対立と対立の解消
    裁判や戦場といった人間同士の対立の極みにおいても、観音の慈悲を念ずることで、互いの憎しみや意地が消え去り、平和と和解がもたらされる。
妙音観世音みょういかんぜおん、梵音海潮音ぼんのんかいちょうおん、勝彼世間音しょうひせけんおん、是故須常念ぜこしゅじょうねん

観世音は優れた音であり、清浄で清らかな音であり、潮の満ち引きの音であり、世間のあらゆる音に勝る。それ故常に念ぜよ。

  • 妙音:妙なる素晴らしい教え。
  • 梵音:清浄で清らかな声。
  • 海潮音:潮の満ち引きのように、規則正しく響き渡る雄大な声。
  • 世間音:人々の雑音や世の中のくだらない噂話。
念念勿生疑ねんねんもつしょうぎ、観世音浄聖かんぜおんじょうしょう、於苦悩死厄おくのうしやく、能為作依怙のういさえこ

一心に念じて疑ってはならない、観世音は浄く聖なり、死や厄災に苦悩するときに、その拠り所となる。

  • 念念: 一瞬一瞬の思いの中。
  • 浄聖:清らかで尊い聖者。
  • 死厄:死の災難、死の恐怖。
  • 依怙:頼りとするもの、心の拠り所。
  • 一心の信仰と絶対的安心
    救いを受けるための唯一の条件は疑わないことです。観音菩薩は、私たちが人生最大の恐怖に直面したとき、最も確かな心の拠り所となってくれると説きます。
具一切功徳ぐいっさいくどく、慈眼視衆生じげんじしゅじょう、福聚海無量ふくじゅかいむりょう、是故応頂礼ぜこおうちょうらい

一切の功徳を具え、慈しみ目をもって衆生を視る。福の海は無限であり、これ故礼拝すべきである。

  • 慈眼:慈しみに満ちた温かい眼差し。
  • 福聚:蓄えられた幸福・功徳の集まり。
  • 頂礼:頭を垂れて心から拝むこと。
  • 観音経の結び・敬いの姿勢
    観音菩薩は、慈しみの眼で私たちを見守っています。私たちは深く感謝し、心から頭を下げて拝み奉るべきであると締めくくられています。
爾時にじ、持地菩薩即従座起じじぼさつそくじゅうざき、前白仏言ぜんびゃくぶつごん

そのとき、持地菩薩はすぐに座を起ち、前に進みて釈尊に慎んで申し上げた。

  • 持地菩薩:大地を平坦にして人々の往来を助けるとされる菩薩。
  • 従座起:座席から立ち上がること。説法に対する敬意と発言の意思を表す。
  • 白仏言:お釈迦様に向かって敬意を持って申し上げること。
世尊せそん、若有衆生にゃくうしゅじょう、聞是観世音菩薩品自在之業もんぜかんぜおんぼさつほんじざいしごう、普門示現神通力者ふもんじげんじんつうりきしゃ、当知是人功徳不少とうちぜにんくどくふしょう

釈尊さま、もし衆生が、この観世音の自在の業や、普門示現の神通力を聞けば、その人の功徳は少なくないことをまさに知るべきです。

  • 自在之業:何ものにも妨げられない観音菩薩の尊い救いの働き。
  • 普門:広く開かれた救いの門。
  • 功徳不少:功徳が少なくない(強調の表現)。
仏説是普門品時ぶっせつぜふもんぼんじ、衆中八万四千衆生しゅじゅうはちまんしせんしゅじょう、皆発無等等かいほつむとうどう、阿耨多羅三藐三菩提心あのくたらさんみゃくさんぼうだいしん

釈尊がこの普門品を説かれたとき、八万四千の衆生は皆、これまでにない真実の智慧を悟った。

  • 八万四千: 仏教で非常に多数を表す象徴的な数。
  • 無等等:比較できるものが何一つない、最高・無上のもの。
  • 発菩提心:悟りを求める心を起こすこと。
  • 阿耨多羅三藐三菩提心:この上なき正しい完全な悟り。サンスクリット語(Anuttara-samyak-saṃbodhi)の音訳。

 

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