時間発展の描像とは

/量子力学

量子論では時間発展を表す3つの代表的な描像があります。

シュレディンガー描像

シュレディンガー描像では、状態ベクトル(波動関数)が時間により変化し、演算子(物理量)は時間に無菅家であると考えます。時間依存するシュレディンガー方程式

$$i\hbar\frac{\partial\psi}{\partial t}=H\psi({\bf q},t)$$

を形式的に解くと状態ベクトルは以下のように書くことができます。

$$\psi({\bf q},t)=e^{-iH(t-t_0)/\hbar}\psi({\bf q},t_0)$$

これより、初期の状態ベクトル $\psi(q,t_0)$ とハミルトニアン $H$ が分かっていれば、その後の変化は理論的にはこの式により定まります。

ある物理量の値を求める場合は、その演算子を $A$ とすると、

$$\braket{A}=\braket{\psi|A|\psi}=\int\psi^*({\bf q},t)A\psi({\bf q},t)d{\bf q}$$

従って、以下で求められます。

$$\braket{A}=\int\psi^*({\bf q},t_0)e^{iH(t-t_0)/\hbar}Ae^{-iH(t-t_0)/\hbar}\psi({\bf q},t_0)d{\bf q}$$

以下、状態ベクトルを次のように簡略化します。

$$\psi(t)\equiv\psi({\bf q},t)  ,  \psi_0\equiv\psi({\bf q},t_0)$$

時間発展演算子 $U$ を以下で定義すると、

$$U(t)\equiv e^{-iH(t-t_0)/\hbar}  -①$$

シュレディンガー描像での状態ベクトルは以下で表され

$$\ket{\psi(t)}=U(t)\ket{\psi_0}  -②$$

物理量の値は以下のように表されます。

$$\braket{A}=\braket{\psi(t)|A|\psi(t)}  -③$$

また、シュレディンガー方程式は以下になります。

$$i\hbar\frac{\partial}{\partial t}\ket{\psi(t)}=H\ket{\psi(t)}$$

これは、状態ベクトルの時間発展を表す運動方程式です。

ハイゼンベルグ描像

ハイゼンベルグ描像では、演算子が時間により変化し、状態ベクトルは時間に無関係であると考えます。ハイゼンベルグ描像の演算子を以下で定義すると、

$$A(t)\equiv U^\dagger(t)AU(t)  -④$$

物理量の値③は以下のように書き換えられます。

$$\braket{A}=\braket{\psi_0|A(t)|\psi_0}$$

④を時間微分すると、次のハイゼンベルグ方程式が得られます。

$$i\hbar\frac{dA(t)}{dt}=[A(t),H]$$

これは、演算子の時間発展を表す運動方程式です。

相互作用描像

相互作用描像では、ハミルトニアンを自由場の項($H_0$)と相互作用の項($H_I$)に分けて、後者を摂動として扱います。

$$H=H_0+H_I$$

これにより、時間発展演算子①は以下で表されます。

$$U(t)=e^{-iH_0(t-t_0)/\hbar}e^{-iH_I(t-t_0)/\hbar}\equiv U_0(t)U_I(t)$$

このとき、②は以下に書き換えられるため、

$$\ket{\psi(t)}=U_0(t)U_I(t)\ket{\psi_0}$$

相互作用描像での状態ベクトルを以下で定義すると、

$$\ket{\psi(t)}_I\equiv U_I(t)\ket{\psi_0}$$

シュレディンガー描像での状態ベクトル(右辺)との関係は以下で表されます。

$$\ket{\psi(t)}=U_0(t)\ket{\psi(t)}_I  -⑤$$

また、④は以下に書き換えられるため、

$$A(t)\equiv U_I^\dagger(t)U_0^\dagger(t)AU_0(t)U_I(t)$$

相互作用描像での演算子を以下で定義すると、

$$A_I(t)\equiv U_0^\dagger(t)AU_0(t)  -⑥$$

ハイゼンベルグ描像での演算子(右辺)との関係は以下で表されます。

$$A(t)=U_I^\dagger(t)A_I(t)U_I(t)$$

また、状態ベクトル⑤をシュレディンガー方程式に代入すると、相互作用描像での状態ベクトルの運動方程式が得られます。

$$i\hbar\frac{\partial}{\partial t}\ket{\psi(t)}_I=H_I\ket{\psi(t)}_I$$

さらに、⑥の両辺を時間微分すると、相互作用描像での演算子の運動方程式が得られます。

$$i\hbar\frac{dA_I(t)}{dt}=[A_I(t),H_0]$$

 

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