エーレンフェストの定理とは

/量子力学

エーレンフェストの定理とは

エーレンフェストの定理は、量子力学における波束の重心(波動関数の期待値)の運動が、古典力学における運動方程式に近似されることを表します。

粒子の位置の期待値を $\braket{{\bf r}}$ で表すとき、

$$\braket{{\bf r}}=\int\psi^*({\bf r},t){\bf r}\psi({\bf r},t)d{\bf r}  -①$$

以下の関係が成り立ちます。これは、古典力学のニュートンの運動方程式に相当します。

$$m\frac{d^2}{dt^2}\braket{{\bf r}}=F(\braket{{\bf r}})  -②$$

尚、波動関数は次のシュレディンガー方程式に従います。

$$i\hbar\frac{\partial\psi}{\partial t}=H\psi  -③$$$$-i\hbar\frac{\partial\psi^*}{\partial t}=H\psi^*  -④$$$$H=-\frac{\hbar^2}{2m}\nabla^2+V({\bf r})$$

エーレンフェストの定理を導く

①の $x$ 軸成分について、

$$\braket{x}=\int\psi^*({\bf r},t)x\psi({\bf r},t)d{\bf r}$$

として、②の代わりに以下の関係が成り立つことを示します。

$$m\frac{d^2}{dt^2}\braket{x}=F_x(\braket{{\bf r}})  -⑤$$

これを時間微分し、③と④を代入すると、

$$\frac{d}{dt}\braket{x}=\int\Big(\frac{d\psi^*}{dt}x\psi+\psi^*x\frac{d\psi}{dt}\Big)d{\bf r}$$

$$=\frac{1}{i\hbar}\int\Big(-(H\psi^*)x\psi+\psi^*x(H\psi)\Big)d{\bf r}$$

$$=\frac{\hbar}{2mi}\int\Big((\nabla^2\psi^*)x\psi-\psi^*x(\nabla^2\psi)\Big)d{\bf r}  -(1)$$

ここで、

$$\frac{\partial^2}{\partial x^2}(x\psi)=\frac{\partial}{\partial x}\Big(\psi+x\frac{\partial\psi}{\partial x}\Big)=2\frac{\partial\psi}{\partial x}+x\frac{\partial^2\psi}{\partial x^2}$$

に注意すると、

$$\nabla^2(x\psi)=2\frac{\partial\psi}{\partial x}+x\nabla^2\psi$$

これを(1)の第2項に代入すると、

$$\frac{d}{dt}\braket{x}=\frac{\hbar}{2mi}\int\Big((\nabla^2\psi^*)x\psi-\psi^*\nabla^2(x\psi)+2\psi^*\frac{\partial\psi}{\partial x}\Big)d{\bf r}  -(2)$$

ここで、グリーンの定理

$$\int(u\nabla^2v-v\nabla^2u)dV=\int(u\nabla v-v\nabla u)_ndS$$

を適用すると、(2)の第1項と第2項は面積分に変換できますが、無限遠では波動関数は0になるため、これらの積分は無視することができます。従って、(2)は第3項のみが残ります。

$$\frac{d}{dt}\braket{x}=-\frac{i\hbar}{m}\int\psi^*\frac{\partial\psi}{\partial x}d{\bf r}$$

これを再度時間微分し、③と④を代入すると、

$$\frac{d^2}{dt^2}\braket{x}=-\frac{i\hbar}{m}\int\Big(\frac{\partial\psi^*}{\partial t}\frac{\partial\psi}{\partial x}+\psi^*\frac{\partial}{\partial x}\frac{\partial\psi}{\partial t}\Big)d{\bf r}$$

$$=-\frac{1}{m}\int\Big((-H\psi^*)\frac{\partial\psi}{\partial x}+\psi^*\frac{\partial}{\partial x}(H\psi)\Big)d{\bf r}$$

$$=-\frac{\hbar^2}{2m^2}\int\Big((\nabla^2\psi^*)\frac{\partial\psi}{\partial x}-\psi^*\frac{\partial}{\partial x}(\nabla^2\psi)\Big)d{\bf r}$$$$-\frac{1}{m}\int\psi^*\frac{\partial V}{\partial x}\psi d{\bf r}$$

この第1項と第2項はグリーンの定理により面積分に変換できますが、無限遠では波動関数は0になるため、これらの積分は無視することができます。従って、

$$\frac{d^2}{dt^2}\braket{x}=-\frac{1}{m}\int\psi^*\frac{\partial V}{\partial x}\psi d{\bf r}$$

ここで、

$$F_x=-\int\psi^*\frac{\partial V}{\partial x}\psi d{\bf r}$$

と置くと⑤が得られます。

 

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