観音経秘鍵を読む
| 世尊妙意観世音、金銀座寶之蓮華者、歴劫不思議之波立、心得之深顕 |
世尊の深く優れた教えを体現する観世音菩薩は、金や銀、宝で飾られた蓮の花のような存在である。遥か昔からの永い時間の中で、その働きを現し続け、悟りの深さを顕わしている。
⇒観音様は、永遠に渡って人々を救い続け、その深い悟りを世界に現している存在である。
- 金銀座寶の蓮華
清らかさ・尊さ・悟りの象徴(泥の中でも汚れない蓮) - 歴劫不思議
想像もできないほど長い時間、ずっと働き続けている - 波立
世界に働きかけ、救いの作用を起こす様子 - 心得之深顕
観音の悟りの深さが、行いとして現れている
| 弘誓深如海之船者、此来不傾、還著於本人之剣以、呪詛諸毒薬之病滅 |
広大な誓願は海の如く深く、この世に現れても決して傾くことがない。その力は巡って自分のもとに返り、呪いやあらゆる毒を滅することができる。
⇒観音様の誓いは揺るがぬ救いであり、その力はあらゆる災いをはね返し、人々を守り救う。
- 弘誓深如海
観音の誓願(人々を救う決意)が、海のように深く広大 - 船
苦しみの海(生死の迷い)を渡らせる救いの手段 - 此来不傾
この現実世界に現れても、その救いは揺るがない - 還著於本人之剣
外からの害は、むしろ自分に返ってくる(無効化される) - 呪詛・毒薬の病
物理的な毒だけでなく、悪意・災い・心の苦しみも含む
| 念彼観音之力於合、諸欲害身之敵滅、発大清浄願之滝水者、煩悩妄想之垢雪 |
観音菩薩の力を念じ、その力と一つになるとき、あらゆる欲望や自分を害する敵や災いを滅することができる。大いなる清らかな誓願の滝の水は、煩悩や妄想の汚れを洗い流す。
⇒観音様の力を信じ、心を合わせれば、害となるものは消え、心の汚れが洗い流される。
- 念彼観音之力於合
観音の力を信じて念じ、自分の心と重ねる(合一する)こと - 諸欲害身之敵
外的な敵だけでなく、内面の不安・恐れ・怒りなども含む - 発大清浄願
清らかな大きな願い(菩提心・利他の心) - 滝水
強く絶えず流れる浄化の力 - 煩悩妄想之垢
執着・迷い・雑念といった心の汚れ
| 我意汝略説之草木者、聞名及見身之成種、心念不空之風吹者、能滅諸有苦之雲晴 |
ここで説かれている草木とは、観音の名を聞いたり、その姿を拝したりすることで、悟りへと至る種となるものである。その思いが空しく終わらず風のように働くなら、あらゆる苦しみという雲は消え去り、心は晴れ渡る。
⇒観音様との縁が悟りの種となり、その信じる心により、苦しみは雲のように消えていく。
- 草木
文字通りの植物ではなく、どんな小さな縁でも悟りの種になるという例え - 聞名及見身
名を聞く・姿を見る=観音とのご縁を持つこと - 成種
仏道に向かう“種”が心に植わる - 心念不空之風
信じる心が無駄にならず、働きを持つ(風のように動く) - 諸有苦之雲
この世のあらゆる苦しみ(輪廻の苦)を雲に例えている
| 念念勿生之月明照、推落大火之雨降者、火坑之火消滅 |
一念一念に迷いの心を起こさなければ、月の光のように明るく照らされ、大きな火を押し流すような雨が降るとき、燃えさかる炎も、全て消え去ってしまう。
⇒心に迷いがなければ、静かな智慧と慈悲の力が煩悩を消し去り、どんな苦しみも鎮まる。
- 念念勿生
次々と起こる思いの中で、迷い・執着を生じさせないこと - 月明照
静かで清らかな智慧の光(太陽よりも柔らかい悟りの象徴) - 大火
激しい煩悩(怒り・欲・無知) - 雨降
慈悲や智慧が働いて、煩悩を鎮める - 火坑
地獄の苦しみ、または心の激しい苦悩
| 即従座起之金以、和光垂迹之利物顕、雲雷鼓掣電降雹澍大雨者、皆是観世音之仏力也 |
直ちに座から立って働き出すその尊い力は、光を和らげてこの世に姿を現し、様々な形で人々を救う。雲が涌き、雷が鳴り、稲妻が走り、雹(ひょう)が降り、大雨が降る。そうしたあらゆる現象も、全て観世音菩薩の仏の力の現れである。
⇒観音は様々な姿とでこの世に現れ、あらゆる働きや現象を通して人々を救う。
- 和光垂迹(わこうすいじゃく)
本来は高く尊い存在が、光を和らげて人間の世界に現れること(=人々に合わせて姿を変えて救う) - 利物
衆生を利益する、救う働き - 雲雷鼓掣電…大雨
あらゆる働き・出来事に観音の力が及んでいることの象徴
| 奉唱福聚海無量、閻浮檀金之家之内者、皆是法性之春 |
この上ない功徳の教えを、心から称えます。この世のすべての家々は、みな真理に満ちた、春のような有様となります。
⇒無量の功徳が世界に満ち、人々の心も、春のように穏やかで豊かなものとなる。
- 福聚海無量
功徳が海のように広く、量り知れないこと - 閻浮檀金(えんぶだんごん)
人間世界(閻浮提)を、黄金のように尊いものとして表現 - 家之内
一人ひとりの生活の場・心の内面も含む - 法性之春
真理(法性)が満ち、温かく生き生きとした状態(悟り・安らぎの比喩)
| 以偈問曰之華開、我今重問彼之秋之露者、世尊妙相具之草木宿事疑無、生死之病種種因縁之薬給 |
偈をもって問いかけると、花が開くように真理が現れる。今改めて問う、あの秋の露のようなものとは何か。世尊の優れた姿が具わるところは、草木に宿る働きに疑いはなく、生と死の苦しみという病に対して、様々な因縁に応じた薬が与えられる。
⇒真理を求める問いは悟りを開かせ、仏の働きはあらゆるものに宿り、救いが与えられる。
- 秋之露
はかなくも清らかなもの/真理の一滴(悟り・教え)の比喩 - 妙相具
仏のすぐれた徳や相がそなわっていること - 草木宿事
あらゆるもの(草木に至るまで)に仏の働きが宿るという見方 - 生死之病
輪廻の苦しみそのもの - 種種因縁之薬
人それぞれに応じた教え・救い(対機説法)
| 慈眼視衆生、福聚海無量、是故応頂礼、念彼観音力、諸願成就、皆令満足、急急如律令 |
慈しみの眼差しで、全て衆生を見守り、その功徳は海のように量り知れない。だからこそ、心から礼拝すべきである。観音の力を念じれば、あらゆる願いは成就し、すべて満たされる。速やかに、その通りに実現しますように。
⇒観音様の慈悲と功徳を信じて礼拝し、その力を念じれば、全ての願いは満たされる。
- 慈眼視衆生
観音がすべての存在を慈悲の目で見守る - 福聚海無量
功徳が海のように無限 - 応頂礼
心から頭を下げて礼拝すべき存在 - 念彼観音力
観音の力を信じて念じる - 急急如律令
速やかにその通りに成れという強い成就の言葉(呪的な結び)
| 南無大慈大悲観世音菩薩、種種重罪、五逆消滅、自他平等、即身成仏 |
大いなる慈しみをもって人々を救う観音菩薩に帰依します。あらゆる罪、最も重大な罪までもが消え去り、自分と他者の区別なく平等に救われ、この身のままで仏の境地に至ることができますように。
⇒観音様に帰依すれば、どんな罪も浄められ、全ての人は平等に救われ、そのまま悟りに至る。
- 南無
心から帰依し、全てを委ねる - 種種重罪五逆
どんなに重い過ちでも(五逆=仏教で最も重い罪) - 自他平等
自分も他人も分け隔てなく救われる - 即身成仏
この身このままで悟りに至る



