概要
介護保険とは、加齢に起因する疾病等により要介護状態となった者に対し、自立した日常生活を送るための給付を目的とした保険です。介護保険は、保険・医療・福祉サービスが組み合わされており、全国共通でどこでも同じサービスを受けることができます。
公的介護保険は、市町村などが保険者となり、財源は公費(税金)50%、保険料50%で運営されています。40歳以上の者が加入者(被保険者)となり、保険料は生涯負担します。
介護保険の利用者負担は、原則としてサービス料金の1割ですが、一定以上の所得がある者は2割または3割負担とされます。自己負担割合の認定は、個人の所得による判断のほか、世帯収入によって判定されます。
被保険者
被保険者の区分は以下になります。
項目 | 第1号被保険者 | 第2号被保険者 |
対象者 | 市町村に住所を有する65歳以上の者 | 40歳以上65歳未満の医療保険者加入者 |
受給権者 | 要介護者、要支援者 | 左記のうち、老化に伴う特定疾病によって介護や支援が必要な者 |
保険料 | 市町村が徴収 | 医療保険者が医療保険として徴収し、一括して納付 |
第1号被保険者の場合は、所得に応じて9段階の区分された定額保険料です。各市町村は、条例によって具体的な区分数や保険料を設定することができます。徴収方法は、老齢年金からの天引きと、市町村による普通徴収の2通りがあります。
第2号被保険者の場合は、健康保険と共済組合では、標準報酬月額と標準賞与額に介護保険料を掛けて介護保険料が定まります。事業主も保険料の半分を負担します。
専業主婦(夫)の場合、65歳以上の第1号被保険者は自ら介護保険料を払います。40歳以上65歳未満の者は、配偶者が国民健康保険の場合、保険料に上乗せして保険料を払いますが、配偶者が会社員(公務員)かつその被扶養者である場合、保険料を払う必要はありません。
要介護認定
介護保険の給付を受けるためには、市町村から認定を受ける必要があります。介護認定の申請を行うと、認定調査(訪問調査)が行われ、主治医の意見書とともに介護認定審査会で最終判定(二次判定)が行われます。
認定には、自立(非該当)、要支援、要介護の3種類があり、要支援または要介護と認定されると介護保険から介護予防サービスと介護サービスを受けることができます。
要支援と要介護の状態は7段階に分かれ、以下のような目安になります。
要支援1 | - | 日常生活を送る能力は基本的にあるが、歩行などが不安定、浴槽などの出入りに一部介護が必要 |
要支援2 | 社会的支援が必要 | |
要介護1 | 生活の一部に部分的な介護が必要 | 立ち上がるときや歩行が不安定、排泄や入浴などに一部または全介助が必要 |
要介護2 | 中程度の介護が必要 | 一人で立ち上がったり歩けないことが多い、排泄や入浴などに一部または全介助が必要 |
要介護3 | 重度な介護が必要 | 一人で立ち上がったり歩いたりできない、排泄や入浴、着替えなどに全介助が必要 |
要介護4 | 最重度の介護が必要 | 日常生活を送る能力がかなり低下、入浴や着替えの全介助、食事のときの一部解除が必要 |
要介護5 | 過酷な介護が必要 | 生活全般にわたって全面的な介助が必要、意思の伝達がほとんどできない場合が多い |
介護認定の有効期間は、初回認定が原則6ヵ月間で、更新認定は原則12ヵ月となります。更新認定の手続きは、有効期間満了日の60日前から満了日の間に申請ができます。
介護サービス
要支援に認定された場合は介護予防ケアプラン、要介護1~5に認定された場合は介護サービスの利用計画(ケアプラン)が立てられます。介護保険の給付を受ける利用者は、介護サービスを提供する事業者と契約を結びます。
要支援1 要支援2 |
介護予防サービス | ・介護予防通所介護 ・介護予防通所リハビリ(デイケア) ・介護予防訪問介護 |
地域密着型 予防サービス |
・介護予防小規模多機能型居宅介護 ・介護予防認知症対応型共同生活介護、等 |
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要介護1 ~ 要介護5 |
施設サービス | ・特別養護老人ホーム ・老人保健施設 ・介護医療院 |
居宅サービス | ・訪問介護 ・訪問看護 ・通所介護(デイサービス) ・短期入所生活介護(ショートステイ) |
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地域密着型サービス | ・小規模多機能型居宅介護 ・夜間対応型訪問介護 ・認知症対応型共同生活介護、等 |

