生命保険とは
生命保険とは、人間の生存または死亡など、万が一の損失を保障することを目的とする保険です。
万が一のときの保障のため、複数人でお金を出し合って組織を作り、不幸に会った人や家族にお金を渡すことができれば、お互いに助け合って生きていくことができます。これを相互扶助といいます。
過去の経験から、特定の不幸(リスク)がどのような確率で発生するか予想できるため(大数の法則)、各自から集めるお金(保険料)と渡すお金(保険金)を設定することができます。
保険会社では、集めた保険料を保険金などの支払いに充てるだけでなく、長期間の契約に応じて資産運用を行って利殖するほか、経営や契約の維持管理などに経費を使っています。
保険金の仕組み
保険の名義
保険の名義には契約者・被保険者・受取人などがあります。これらの組み合わせにより、かかる税金が異なるため注意が必要です。
- 契約者
保険会社と保険契約を結ぶ者で、保険契約上の一切の義務・権利を有します。個人のほか法人もなることができ、契約内容の変更ができます。 - 被保険者
保険の対象になる者です。契約者の他、それ以外の者なることができ、複数の者を被保険者にすることもできます。 - 受取人
保険金の受け取りを契約者から指定された者です。保険金を請求することができ、複数の者を受取人にすることもできます。
掛捨てと貯蓄
生命保険の商品には、掛捨てタイプと貯蓄タイプがあります。
- 掛捨てタイプ
解約したときにそれまで掛けた保険料が戻らないか、戻っても少額のものです。貯蓄性がない分、保険料は安くなります。定期保険などが該当します。 - 貯蓄タイプ
満期保険金が受け取れたり、解約返戻金があるものです。保険金額が同じであれば、掛捨てタイプより保険料は高くなります。養老保険、終身保険などが該当します。
主契約と特約
生命保険は、ベース(本体)となる主契約と、主契約の保障内容を充実させるためオプションとして付加される特約から成り立っています。保険に加入する目的により、主契約と特約の組み合わせを考える必要があります。
- 主契約
被保険者が死亡したときに保険金がおりる死亡保険、被保険者が生存しているときに保険金がおりる生存保険、それら両方の機能がある生死混合保険の3種類があります。 - 特約
一定期間の保障を厚くする定期保険特約、病気による入院・手術に対して支払われる疾病入院特約、不慮の事故で死亡・高度障害になった場合などに支払われる災害・障害特約など、その種類は多岐に渡ります。
保険料
保険料は、将来の保険金の支払いに充てるための純保険料と、保険事業を運営するために必要な経費に充てるための付加保険料から成り立っています。
- 純保険料
被保険者の死亡する割合を仮定した予定死亡率と、収受した保険料の運用利息を仮定した予定利率の2つから算出されます。予定死亡率は、各年齢者の1年間に死亡する割合をまとめた死亡表から求められます。 - 付加保険料
新契約の締結に伴って要する費用である新契約費と、それ以外の一切の費用である維持費からなります。予め事業契約に必要な費用を見積った予定事業費率に基づいて算出されます。
配当金
配当金(剰余金)は、実際の死亡者数が予定より少なかった場合や運用成績が予定を上回った場合に、その差益から支払われます。逆に差損が生じた場合は、配当がないこともありえます。
生命保険の種類
保険の種類には主に以下になります。
- 定期保険
- 収入保障保険
- 終身年金
- アカウント型保険
- 養老保険
- こども保険
定期保険
定期保険は、一定の保険期間内に死亡または高度障害になった場合に、一定額の保険金が支払われます。保険期間や保険金額などが同じ貯蓄性のある保険に比べ、保険料は割安になります。
保険期間が短期の場合は、長期に比べ保険料は割安ですが、解約払戻金はあってもわずかになります。長期の場合は、短期に比べ保険料が平準化されているため割高で、解約払戻金はあっても保険期間の満了時にはゼロになります。定期保険には以下の種類があります。
- 定期保険(平準定期保険)
- 逓減定期保険
保険料は一定で、保険金額は保険期間の経過とともに一定の割合で減少(逓減)します。保険金や当初の保険金が同じ条件であれば、保険料は平準定期保険に比べ安くなります。 - 逓増定期保険
保険料は一定で、保険金額は保険期間の経過とともに一定の割合で増加(逓増)します。一般に、法人契約の場合に取り扱われます。
収入保障保険
収入保障保険(生活保障保険、家族保障保険)は、死亡・高度障害になった場合に、保険金を年金形式(月額払い形式)で支払う保険です。年金形式には歳満了型と確定型があります。
- 歳満了型:死亡から満了まで年金を受け取る。
- 確定型:契約時に定めた年数(5年・10年など)で年金を受け取る。
尚、年金形式の他、一括で受け取ることもできますが、受取り総額は年金形式に比べ低額になります。
終身保険
終身年金は、死亡・高度障害の保障が一生涯続き、満期は無く、保険期間の経過とともに解約払戻金は増加します。保険料は、払込期間が有期払いより終身払いのほうが、1回当りの保険料は安くなります。
- 低解約払戻金型終身保険
保険料払込満了までの解約返戻金の割合を通常の7割程度に設定することで、保険料を安く設定しています。そのため、保険料払込期間中に解約した場合、解約返戻金は払込保険料を下回ります。 - 積立利率変動型終身保険
契約時に定められた積立利率を市場金利が上回ると積立金が増加し、保険金額や解約返戻金が増加します。但し、最低の積立利率は契約時に保証されているため、基本保険金額は保証されています。 - 外資建て終身保険
米ドル、ユーロなどの外貨で保険料を払い込み、保険金額や解約返戻金額などを外貨で受け取ります。外貨は一般に、予定利率や積立利率が円建てより高めに設定されています。 - 定期保険特約付終身保険
主契約である終身保険に定期保険特約の付加を基本とし、その他の各種特約を付加することができます。定期保険特約が付加されている期間は、終身保険のみの場合より、割安な保険料で必要な保障額を確保することができます。
アカウント型保険
アカウント型保険(利率変動型積立終身保険)は、積立部分(アカウント部分)と保障部分で構成されます。契約後でも、アカウント部分や保障部分の内容の変更は可能で、仕組みも多様であることが特徴です。
- アカウント部分
適用される予定利率は、一定期間ごとに見直されますが、最低保証利率を下回ることはありません。保険料払込満了後に積立金の一部または全部を一時払い保険料として充当することにより、無告知で終身保険や年金受取に変更できます。 - 保障部分
死亡保障、介護保障、医療保障、家計保障、生前給付保障などを特約として付加し、ライフステージに合わせた保障額や保障内容を準備することができます。契約後でも、一定の範囲内で保障内容の変更が可能とされています。
養老保険
養老保険は、一定の保険期間内に死亡または高度障害になった場合は保険金が支払われ、満期時に被保険者が生存していれば満期保険金を受け取ることができます。死亡時の保険金と満期保険金は同額になります。
個人契約と法人契約がありますが、個人契約は一般に契約者は満期保険金受取人であり、死亡保険金受取人は被保険者の承諾の下に契約者が指定します。
こども保険
こども保険は、子供を被保険者、両親や祖父母を契約者とし、祝金や満期保険金で学費等の必要資金を準備することを主な目的とした保険です。被保険者の年齢や入学時期に応じて、祝金を設けている商品もあります。
契約者が死亡した場合は、以降は保険料の払い込みは免除されます。また、被保険者が死亡した場合は、死亡保険金や死亡給付金などが支払われ保険契約は消滅します。