ブラソフ方程式とは

/プラズマ物理

ブラソフ方程式とは

ブラソフ方程式とは、粒子間の衝突を無視した粒子の速度分布関数が従う方程式です。ブラソフ方程式は、ボルツマン方程式の衝突項が0になったもので、プラズマ物理の基本方程式とされています。

時刻 $t$ に位置が(${\bf r},{\bf r}+d{\bf r}$)、速度が(${\bf v},{\bf v}+d{\bf v}$)の範囲にある粒子数は、速度分布関数 $f$ により以下で表されると仮定します。

$$f({\bf r},{\bf v},t)d{\bf r}d{\bf v}$$

このとき、ブラソフ方程式は以下で表されます。$m$ は粒子の質量、$F$ は粒子に働く力です。

$$\frac{\partial f}{\partial t}+\sum_rv_r\frac{\partial f}{\partial x_r}+\sum_r\frac{F_r}{m}\frac{\partial f}{\partial v_r}=0  -①$$

特に粒子に働く力がローレンツ力で、ベクトル表記で表すと以下になります。$q$ は粒子の電荷です。

$$\frac{\partial f}{\partial t}+{\bf v}\cdot\nabla f+\frac{q}{m}({\bf E}+{\bf v}\times{\bf B})\cdot\frac{\partial f}{\partial{\bf v}}=0$$

ブラソフ方程式を導く

時刻 $t’=t+\delta t$ に、位置が ${\bf r}’={\bf r}+\delta{\bf r}$、速度が ${\bf v}’={\bf v}+\delta{\bf v}$ に変化した場合、衝突が無ければ、粒子とともに動く体積要素内の粒子数は変化しないので、

$$f({\bf r},{\bf v},t)d^3{\bf r}d^3{\bf v}=f({\bf r}’,{\bf v}’,t’)d^3{\bf r}’d^3{\bf v}’$$

リウビルの定理($d^3{\bf r}’d^3{\bf v}’=d^3{\bf r}d^3{\bf v}$)を適用すると、

$$f({\bf r},{\bf v},t)d^3{\bf r}d^3{\bf v}=f({\bf r}’,{\bf v}’,t’)d^3{\bf r}d^3{\bf v}  -②$$

$f({\bf r}’,{\bf v}’,t’)$ を1次の項まで展開すると、

$$f({\bf r}’,{\bf v}’,t’)=f({\bf r},{\bf v},t)+\frac{\partial f}{\partial t}\delta t+\sum_r\frac{\partial x_r}{\partial t}\frac{\partial f}{\partial x_r}\delta t+\sum_r\frac{\partial v_r}{\partial t}\frac{\partial f}{\partial v_r}\delta t$$

これを②に代入すると、

$$0=\Big(\frac{\partial f}{\partial t}+\sum_r\frac{\partial x_r}{\partial t}\frac{\partial f}{\partial x_r}+\sum_r\frac{\partial v_r}{\partial t}\frac{\partial f}{\partial v_r}\Big)\delta t$$

任意の $\delta t$ でこの式が成り立つ条件として、①が得られます。

 

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