リターンとは
投資のリターンとは、期待できる利益です。株式など金融商品の価格変動に限定する場合、リターンは期待収益率(期待投資収益率)になります。このリターンは、過去の実績の場合と、将来の予測の2つの求め方があります。
過去の実績としてのリターン
期待収益率($\mu$)は、単位時間当たりの収益率($R$)の平均として求められます。
$$\mu=E[R]=\frac{1}{T}\sum_{t=1}^nR_t$$
収益率 $R$ は、以下の式で求められます。ここで、$S$ は金融商品の価格、$t$ はある時刻を表します。
$$R_t=\frac{S_{t+1}-S_t}{S_t}$$
リスクが同じ場合、一般的に、価格が下がればリターンは上がり、価格が上がればリターンが下がる傾向にあります。これは、以下の表のとおり、価格の上昇は一定なのに、収益率が下がることからも分かります。
$t$ | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 |
$S$ | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 |
$R$ | - | 0.10 | 0.091 | 0.083 | 0.077 | 0.071 |
将来の予測としてのリターン
期待収益率は、予測される収益率の平均として求められます。
$$\mu=E[R]=\sum_{i=1}^np_iR_i$$$$\sum_{i=1}^np_i=1$$
ここで、$p_i$ は各収益率の起こる確率です。
リスクとは
投資のリスクとは、不確実性による損失の可能性です。株式など金融商品の価格変動に限定する場合、リスクは標準偏差(ボラリティ)で表すことができます。この場合は、悪いことに限らず、良いことも含めた価格の不確実性(バラつき)表します。
標準偏差 $\sigma$ は、以下の式で求められます。尚、標準偏差の2乗は分散と呼ばれます。
$$\sigma^2=V[R]=\frac{1}{n}\sum_{i=1}^n(R_i-\mu)^2$$
リターンとリスクの関係
一般に、リスクとリターンはトレードオフと考えられています。金融商品はハイリスク・ハイリターン、または、ローリスク・ローリターンとされており、ハイリスク・ローリターン、または、ローリスク・ハイリターンは存在しません。
例えば、ローリスク・ハイリターンの株式があった場合、皆が投資(買い)を希望するので、その株価は上がり、その結果リターンは下がります。例えば、その株式が国債と同じリスクであれば、国債と同じリターンになるまで株価は上昇します。
逆に、ハイリスク・ローリターンは誰も買わないため、その株価は下がり、その結果リターンは上がります。最終的に、ハイリスク・ハイリターン、または、ローリスク・ローリターンに均されてしまいます。

