マクスウェル場とは

/場の量子論

マクスウェル場の古典論

マクスウェル場とは、マクスウェル方程式に従う電磁場です。真空のまず、古典論について説明します。

B=0  D=0  ×E+Bt=0  ×HDt=0  

尚、電場と磁場には以下の関係があります。

D=ϵ0EB=μ0Hϵ0μ0=1c2

ベクトルポテンシャル

ベクトルポテンシャル A を⑤で定義すると、①は自動的に満たされ、②~④は⑥~⑦に書き替えることができます。

B×A  A=0  E=At  2A1c22At2=0  

⑧は波動方程式であり、A は波数 k の平面波の重ね合わせで表されることが分かります。

A(r,t)=A0ei(krωt)  kx=2πλx , ky=2πλy , kz=2πλz

⑨を⑧と⑥に代入するとそれぞれ以下のようになります。これらにより、A が速度 c の波動であることと、振幅が進行方向 k に垂直(横波)であることが分かります。

kx2+ky2+kz2=k2=ω2c2  0=A0xkx+A0yky+A0zkz=A0k

電場や磁場に物理的な意味を持たせるため、⑨の実部(複素共役の和)を解として用いる必要があります。そのため、⑨を以下のように置き換え、全ての波数 k について和を取ります。

A(r,t)=1Vkj=12ϵkj(qkj(t)eikr+qkj(t)eikr)  qkj(t)=|qkj|ei(ωkt+δkt)

また、振幅は進行方向に対し垂直となるため、各波数に対し自由度は2となります。これを単位ベクトルの組(ϵk1,ϵk2)で表しています。

電場

電場は⑨を⑦に代入することで得られます。

E(r,t)=iωA0ei(krωt)

⑪についても同様に書き替えると、

E(r,t)=1Vkj=12iωkϵkj(qkj(t)eikrqkj(t)eikr)  

磁場

電場は⑨を⑤に代入することで得られます。

B(r,t)=i(k×A0)ei(krωt)

⑪についても同様に書き替えると、

B(r,t)=1Vkj=12i(k×ϵkj)(qkj(t)eikrqkj(t)eikr)  

ハミルトニアン

電磁場のハミルトニアンは以下で表されます。

U(r,t)=12(DE+BH)  

一般化座標を以下で定義すると、

Qkj(t)qkj(t)+qkj(t)  

古典論のハミルトニアンは以下で表されます(⑯⑰の導出)。

H=VUdr=2ϵ0kjωk2qkjqkj  =ϵ02k,j(Q˙k,j2+ωk2Qk,j2)  =k,j(12ϵ0Pkj2+ϵ02ωk2Qk,j2)  

最後は以下の共役な一般化運動量を使っています。

Pkj=LQ˙kj=ϵ0Q˙kj  

マクスウェル場の量子論

ハミルトニアン

古典論から量子論へ移るには、

Pkj  iQkj

と置き換えればよいので、

H=k,j(22ϵ022Qkj+ϵ02ωk2Qkj2)

演算子

⑳は量子的な調和振動子であるため、mϵ0 のように類推すると、演算子を以下で定義することができます。

ak,j=ϵ0ωk2(Qkjiϵ0ωkPkj)ak,j=ϵ0ωk2(Qkj+iϵ0ωkPkj)

ここで、⑮と⑲より書き換えると、

ak,j=2ϵ0ωkqkjak,j=2ϵ0ωkqkj

これを⑯に代入すると、量子論のハミルトニアンは以下のように書き替えられます。

H=k,jωkak,jak,j

これらの演算子は以下のような性質があります。尚、nk,j は光子の数を表します。

ak,jak,j=nk,jak,jak,jak,jak,j=1

ベクトルポテンシャル

⑳と㉑を⑪に代入すると、量子論でのベクトルポテンシャルが得られます。

A(r,t)=2ϵ0Vk,jϵkjωk(eikrakj+eikrakj)

電場

⑳と㉑を⑫に代入すると、量子論での電場が得られます。

E(r,t)=2ϵ0Vk,jiωkϵkj(eikrakjeikrakj)

磁場

⑳と㉑を⑬に代入すると、量子論での磁場が得られます。

B(r,t)=2ϵ0Vk,jik×ϵkjωk(eikrakjeikrakj)

導出

⑯と⑰を導く

⑭を⑯の左辺に代入し、次に⑫と⑬を代入すると、

H=12V(ϵ0EE+BBμ0)dr=ϵ02Vk,jk,j((ϵkjϵkj)ωkωk+(k×ϵkj)(k×ϵkj)ϵ0μ0)×V(qkjqkjei(k+k)rqkjqkjei(kk)rqkjqkjei(kk)r+qkjqkjei(k+k)r)dr

この積分が0にならない項は k=±k の項に限られます。まず k=k の場合、前半の括弧の中は、ϵkjϵkjjj)に留意すると、

(ϵkjϵkj)ωk2(k×ϵkj)(k×ϵkj)ϵ0μ0=δjj(ωk2k2ϵ0μ0)

これは⑩より0になります。一方 k=k の場合、後半の指数部分について、第1項と第4項は0になり、第2項と第3項は1になるため、⑯が得られます。

H=ϵ02k,j(ωk2+c2k2)(qkjqkj+qkjqkj)=2ϵ0kjωk2qkjqkj  

⑮の両辺を微分して2乗すると、

Q˙kj(t)=iωk(qkjqkj)Q˙kj2(t)=ωk2(qkj22qkjqkj+qkj2)  (1)

⑮両辺を2乗して ωk2 を掛けると

ωk2Qkj2(t)=ωk2(qkj2+2qkjqkj+qkj2)  (2)

(1)と(2)の両辺の和と取ると、

Q˙kj2+ωk2Qkj2=4ωk2qkjqkj

これを⑯に代入すると⑰が得られます。

H=ϵ02k,j(Q˙k,j2+ωk2Qk,j2)

 

 

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