式と数(数学Ⅰ)
指数法則
$m$、$n$ を正の整数とすると、以下の関係が成り立ちます。
- $a^ma^n=a^{m+n}$
- $(a^m)^n=a^{mn}$
- $(ab)^n=a^nb^n$
展開式と因数分解
展開式と因数分解は以下になります。
- $(a\pm b)^2=a^2\pm 2ab+b^2$
- $(a+b)(a-b)=a^2-b^2$
- $(x+a)(x+b)=x^2+(a+b)x+ab$
- $(ax+b)(cx+d)=acx^2+(ad+bc)x+bd$
- $(a\pm b)(a^2\mp ab+b^2)=a^3\pm b^3$
- $(a\pm b)^3=a^3\pm 3a^2b+3ab^2\pm b^3$
絶対値
絶対値の性質は以下になります。
- $|a|\ge0$ で、$|a|=0$ となるのは $a=0$ のときに限る。
- $a\ge0$ のとき、$|a|=a$
- $a\lt0$ のとき、$|a|=-a$
- $|-a|=|a|$ 、$|a|^2=a^2$ 、$|ab|=|a||b|$
- $|a/b|=|a|/|b|$ 、但し $b\ne0$
平方根
平方根の性質は以下になります。
- $a\ge0$ のとき、$\sqrt{a^2}=|a|$ 、$\sqrt{a}\ge0$
- $a,b\gt0$ のとき、$\sqrt{ab}=\sqrt{a}\sqrt{b}$ 、$\sqrt{a/b}=\sqrt{a}/\sqrt{b}$
- $a,k\gt0$ のとき、$\sqrt{k^2a}=k\sqrt{a}$
2重根号は、2乗の形を作って外側の根号を外します。
- $\sqrt{p\pm k\sqrt{q}}$ は $\sqrt{(a+b)\pm2\sqrt{ab}}$ に変形して、
$\sqrt{(a+b)+2\sqrt{ab}}=\sqrt{a}+\sqrt{b}$
$\sqrt{(a+b)-2\sqrt{ab}}=\sqrt{a}-\sqrt{b}$ 、但し $a\gt b$
不等式
不等式の性質は以下になります。
- $a\lt b$ ならば、$a\pm c\lt b\pm c$
- $a\lt b$ 、$c\gt0$ ならば、$ac\lt bc$ 、$a/c\lt b/c$
- $a\lt b$ 、$c\lt0$ ならば、$ac\gt bc$ 、$a/c\gt b/c$
不等式の解は、$a\gt0$ の場合、以下で表されます。
- $|x|=a$ の解は、$x=\pm a$
- $|x|\lt a$ の解は、$-a\lt x\lt a$
- $|x|\gt a$ の解は、$x\lt-a$ 、$a\lt x$
整数の性質(数学A)
約数
自然数 $N$ の素因数分解が $N=p^aq^br^c\cdots$ となるとき、
- 正の約数の個数は以下で表されます。
$(a+1)(b+1)(c+1)\cdots$ - 正の約数の総和は以下で表されます。
$(1+p+\cdots+p^a)(1+q+\cdots+q^b)(1+r+\cdots+r^c)\cdots$
最大公約数と最小公倍数
2つの自然数 $a$ 、$b$ の最大公約数を $g$ 、最小公約数を $l$ とし、$a=ga’$ 、$b=gb’$ とすると、以下が成り立ちます。
- $a’$ と $b’$ は互いに素である。
- $l=ga’b’$
- $ab=gl$
[1. の証明]
$a’$ と $b’$ が互いに素でないと仮定すると1以外の最大公倍数が存在します。これを $c$ とすると $a’=c\alpha$ 、$b’=c\beta$ と表すことができます。これより $a=gc\alpha$ 、$b=gc\beta$ となり、$g$ よりも大きい最大公約数 $gc$ が存在することになり矛盾します。
[2. の証明]
$l$ は最小公倍数であるため、$l=a\alpha=b\beta$ となり、$ga’\alpha=gb\beta$ であるから、$\alpha=b’$ 、$\beta=a’$ となることが分かります。
[3. の証明]
2. の両辺に $g$ を掛けると、$gl=g^2a’b’=ab$ より得られます。
除法と余り
$a$ を整数、$b$ を正の整数とし、$a$ を $b$ で割ったときの商を $q$ 、余りを $r$ とすると、
$$a=bq+r , 0\le r\lt b$$
全ての整数は余りにより分類することができます。
- $2k$ 、$2k+1$(偶数、奇数)
- $3k$ 、$3k+1$ 、$3k+2$(3で割った余りが0、1、2)
- 一般に、$m$ が2以上の自然数のとき、
$mk$ 、$mk+1$ 、$mk+2$ 、$\cdots$、$mk+(m-1)$
2つの整数 $a$ 、$b$ について、$a-b$ が $m$ の倍数であるとき、$a$ と $b$ は $m$ を法として合同であるといい、以下のように表します。これを合同式と呼びます。
$$a\equiv b\pmod{m}$$
互除法
2つの正の整数 $a$ 、$b$ について、$a$ を $b$ で割ったときの商を $q$ 、余りを $r$ とすると $a=qb+r$ 、
- $r\ne0$ のとき、$a$ と $b$ の最大公約数は、$b$ と $r$ の最大公約数に等しい。
- $r=0$ のとき、$a$ と $b$ の最大公約数は、$b$ である。
[1. の証明]
$a$ と $b$ の最大公約数を $g$ とすると $ga’=qgb’+r$ 、両辺を $g$ で割ると $a’=qb’+r/g$ より、両辺は整数であるため $g$ は $r$ の約数であることが分かります。
ユークリッド互除法は、$a$ と$b$ の最大公約数を求める方法で、以下のような手順を繰り返します。
- $a$ を $b$ で割った余りを $r$ とする。
- $r=0$ ならば、$b$ が $a$ と $b$ の最大公約数。
- $r\ne0$ ならば、$a$ を $b$ 、$b$ を $r$ で置き換えて1から繰り返す。
1次不定方程式
2つの整数 $a$ 、$b$ が互いに素であるとき、以下の1次不等式について、
$$ax+by=c -①$$
- 任意の整数 $c$ に対し、この1次不等式を満たす整数 $x$ 、$y$ が存在する。
- 1組の整数解が $x=\alpha$ 、$y=\beta$ であるとき、全ての整数解は、
$x=bn+\alpha$ 、$y=-an+\beta$($n$ は整数)で表される。
[1. の証明]
①を書き換えると $y=(c-bx)/a$ であり、$a$ と $b$ は互いに素であるため、$a$ の倍数となる分子 $c-bx$ が存在することが分かります。
[2. の証明]
$x=bn+\alpha$ と $y=-an+\beta$ を①に代入すると、$a\alpha+b\beta=c$ となるため、全ての整数解を表すことが分かります。
有限小数と循環小数
既約分数 $m/n$ について以下のことが成り立ちます。
- 分母 $n$ の素因数が2、5だけからなる場合、
$m/n$ は有限小数で表される。 - 分母 $n$ の素因数が2、5以外のものがある場合、
$m/n$ は循環小数で表される。
[1. の証明]
分母 $n$ の素因数が2、5だけからなる場合、少なくともその個数分小数点以下に下れば、割切れることができます。
[2. の証明]
分母 $n$ の2か5以外の素因数を $\gamma$ とすると、$m/n$ は既約分数であるため分子の素因数に $\gamma$ は含まれません。このとき $1/\gamma$ は循環小数になるため、$m/n$ も循環小数となります。
方程式・式と証明(数Ⅱ)
2項定理
2項定理は以下で表されます。
$$(a+b)^n={}_nC_0a^n+{}_nC_1a^{n-1}b+{}_nC_2a^{n-2}b^2+\cdots$$$$+{}_nC_ra^{n-r}b^r+\cdots+{}_nC_{n-1}ab^{n-1}+{}_nC_nb^n$$
多項定理(3項)の場合は、$(a+b+c)^n$ の一般項は以下で表されます。
$$\frac{n!}{p!q!r!}a^pb^qc^r (p+q+r=n)$$
剰余定理と因数定理
剰余定理と因数定理は以下で表されます。
- 剰余定理:
整式 $P(x)$ を $x-a$ で割ったときの余りは $P(a)$ である。
整式 $P(x)$ を $ax+b$ で割ったときの余りは $P(-b/a)$ である。 - 因数定理:
整式 $P(x)$ が $x-a$ を因数にもつならば、$P(a)=0$
整式 $P(x)$ が $ax+b$ を因数にもつならば、$P(-b/a)=0$
高次方程式
高次方程式の性質は以下になります。
- 実数係数の次方程式が虚数解 $a+bi$ をもつならば、
それと共役な複素数 $a+bi$ も解である。 - 3次方程式 $ax^3+bx^2+cx+d=0$ の3つの解を $\alpha,\beta,\gamma$ とすると、
$$\alpha+\beta+\gamma=-\frac{b}{a}$$$$\alpha\beta+\beta\gamma+\gamma\alpha=\frac{c}{a}$$$$\alpha\beta\gamma=-\frac{d}{a}$$$$ax^3+bx^2+cx+d=a(x-\alpha)(x-\beta)(x-\gamma)$$
恒等式と不等式
恒等式の性質は以下になります。
- $P(x)=Q(x)$ が $x$ についての恒等式であるならば、
$P(x)$ と$Q(x)$ の同じ次数の項の係数は一致する。 - 2次の整式の場合:
$ax^2+bx+c=a’x^2+b’x+c’$ が $x$ の恒等式ならば、
$a=a’$ 、$b=b’$ 、$c=c’$ が成り立つ。
不等式について以下の関係が成り立ちます。
- $a\gt b$ ならは、$a-b\gt0$ 、$a^2\gt b^2$
- コーシー・シュワルツの不等式:
$$(a^2+b^2)(x^2+y^2)\ge(ax+by)^2$$$$(a^2+b^2+c^2)(x^2+y^2+z^2)\ge(ax+by+cz)^2$$ - 相加平均と相乗平均:
$a\gt0$ 、$b\gt0$ のとき以下の関係が成り立つ(等号は $a=b$ の場合)
$$\frac{a+b}{2}\ge\sqrt{ab}$$
数列
等差数列
初項 $a$ 、公差 $d$ 、末項 $b$ のとき、
- 一般項 $a_n$:
$$a_n=a+(n-1)d$$ - 等差の中項:$a,b,c$ が等差数列であれば、$2b=a+c$
- $n$ 項までの和 $S_n$($=a_n+S_{n-1}$):
$$S_n=\frac{1}{2}n(a+b)=\frac{1}{2}n\Big(2a+(n-1)d\Big)$$
等比数列
初項 $a$ 、公差 $d$ のとき、
- 一般項 $a_n$:
$$a_n=ar^{n-1}$$ - 等比の中項:$a,b,c$ が等差数列であれば、$b^2=ac$
- $n$ 項までの和 $S_n$($=a_n+S_{n-1}$):
$$S_n=\frac{a(1-r^n)}{1-r}$$
数列の公式
$p,q$ が $k$ に無関係な定数とすると、
$$\sum_{k=1}^n(pa_k+qb_n)=p\sum_{k=1}^na_k+q\sum_{k=1}^nb_n$$
累乗の和は以下で表されます。
$$\sum_{k=1}^nc=nc$$$$\sum_{k=1}^n1=n$$$$\sum_{k=1}^nk=\frac{1}{2}n(n+1)$$$$\sum_{k=1}^nk^2=\frac{1}{6}n(n+1)(2n+1)$$$$\sum_{k=1}^nk^3=\Big(\frac{1}{2}n(n+1)\Big)^2$$
階差数列
数列 $a_n$ の階差数列を $b_n$($b_n=a_{n+1}-a_n$)とすると、
$$a_n=a_1+\sum_{k=1}^{n-1}b_n (n\ge2)$$
数学的帰納法
ある自然数 $n$ に関する命題が、全ての自然数に対して成り立つことを証明するには、以下の2つのことを示せばよい。
- $n=1$ のときに成り立つ。
- $n=k$ のときに成り立つとき、$n=k+1$ のときも成り立つ。

