ラグラジアンの対称性とは

/力学

ラグラジアンの対称性

ラグラジアンの対称性は保存する「チャージ」の存在を保証します。ここでチャージとは、電荷や運動量などの物理量です。ラグラジアンの対称性とは、ある変換(対称変換)に対してラグラジアンが不変に保たれるということを指します。

ラグラジアンを $L(q,\dot{q},t)$ として、次の微小並進変換を考えます。ここで $\epsilon$ は無限小の定数、$h$ を適当な関数とします。

$$q(t) \to  q(t)+\delta q(t)=q(t)+\epsilon h(q,t)  -①$$$$\dot{q}(t) \to  \dot{q}(t)+\frac{d(\delta q)}{dt}  -②$$

この微小変分に対してラグラジアンが不変であるとき、以下で定義される物理量 $Q$(チャージ)

$$\epsilon Q\equiv\frac{\partial L}{\partial\dot{q}}\delta q  -③$$

は、運動方程式に従う運動 $q(t)$ に対して保存量となります。

$$\frac{dQ}{dt}=0  -④$$

例えば、ポテンシャル場のない粒子のラグラジアン $L=m\dot{q}^2/2$ の場合は、保存量は $Q=m\dot{q}$ となり、運動量が保存されることが示されます。

保存則の導出

①と②の微小並進変換に対しラグラジアンが不変であるから、

$$\delta L(q,\dot{q},t)=\frac{\partial L}{\partial q}\delta q+\frac{\partial L}{\partial\dot{q}}\delta\dot{q}=0$$

これにラグランジュ方程式

$$\frac{d}{dt}\Big(\frac{\partial L}{\partial\dot{q}}\Big)-\frac{\partial L}{\partial q}=0$$

を代入すると、

$$\frac{d}{dt}\Big(\frac{\partial L}{\partial\dot{q}}\Big)\delta q+\frac{\partial L}{\partial\dot{q}}\frac{d(\delta q)}{dt}=0$$$$\frac{d}{dt}\Big(\frac{\partial L}{\partial\dot{q}}\delta q\Big)=0$$

③の定義より④が成り立つことが分かります。

ラグラジアン密度の対称性

ラグラジアン密度の対称性は保存する「カレント」の存在を保証します。ここでカレントとは、電荷(チャージ)に対する電流密度に相当します。ラグラジアン密度の対称性とは、ある変換(対称変換)に対してラグラジアン密度が不変に保たれることを指します。

作用の式をラグラジアン密度の積分として表します。尚、$\phi$ は場の関数で、一般には複数存在しますが、ここでは簡単のため1つとしています。

$$S=\int{\mathcal L}\Big(\phi(q),\partial_a\phi(q)\Big)dq^0\cdots dq^d$$$$\partial_a\phi\equiv\frac{\partial\phi}{\partial q^a}$$

以下の微小変分を考えます。ここで $\epsilon$ は無限小の定数です。添字 $\mu$ は対称変換のパラメタを識別し、カレントの種類を表します。

$$\phi(q) \to \phi(q)+\delta\phi(q)=\phi(q)+\epsilon^\mu h_\mu(q)  -⑤$$

$$\partial_a\phi \to \partial_a\phi+\partial_a(\delta\phi)$$

この微小変分に対してラグラジアン密度が不変であるとき、以下で定義される物理量 $J_\mu^a$(カレント)

$$\epsilon^\mu J_\mu^a\equiv\frac{\partial{\mathcal L}}{\partial(\partial_a\phi)}\delta\phi  -⑥$$

は、保存量となります。

$$\frac{\partial J_\mu^a}{\partial q^a}=0  -⑦$$

尚、チャージはカレントの第0成分を空間積分することで得られます。

$$Q_\mu=\int J_\mu^0dq^1\cdots dq^d$$

保存則の導出

⑤の微小変位に対しラグラジアンは不変であるから、

$$\delta{\mathcal L}=\frac{\partial{\mathcal L}}{\partial\phi}\delta\phi+\frac{\partial{\mathcal L}}{\partial(\partial_a\phi)}\delta(\partial_a\phi)=0$$

これに、ラグランジュ方程式

$$\partial_a\Big(\frac{\partial{\mathcal L}}{\partial(\partial_a\phi)}\Big)-\frac{\partial{\mathcal L}}{\partial\phi}=0$$

を代入すると、

$$\partial_a\Big(\frac{\partial{\mathcal L}}{\partial(\partial_a\phi)}\Big)\delta\phi+\frac{\partial{\mathcal L}}{\partial(\partial_a\phi)}\partial_a(\delta\phi)=0$$$$\partial_a\Big(\frac{\partial{\mathcal L}}{\partial(\partial_a\phi)}\delta\phi\Big)=0$$

⑥の定義より⑦が成り立つことが分かります。

 

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