2資産での投資機会集合
投資機会集合とは、投資家が選択できるリターンとリスクの組み合わせです。複数の資産を上手く組み合わせることで、一定のリターンを確保しつつ、リスクを低減することが可能となります。
2資産の場合のリターン $\mu$ とリスク $\sigma$ は以下で表されます。ここで、$w$ は資産1の全体に占める割合、$\rho$ は相関係数を表します。
$$\mu=w\mu_1+(1-w)\mu_2 -①$$
$$\sigma^2=w^2\sigma_1^2+2w(1-w)\sigma_1\sigma_2\rho+(1-w)^2\sigma_2^2 -②$$
この式の導出は以下の式を参照ください。

以下の3つのケースで投資機会集合を見てみますが、3資産以上の場合でも本質的に同じ傾向を持ちます。
順相関(ρ=1)の場合
順相関とは、2つの資産の価格が同じ方向に動く関係にあることです。$\rho=1$ のとき、リスク②は以下で表されます。
$$\sigma=w\sigma_1+(1-w)\sigma_2$$
従って、①よりリターンとリスクの関係は以下になります。
$$\mu=\frac{\mu_1-\mu_2}{\sigma_1-\sigma_2}\sigma+\frac{\mu_2\sigma_1-\mu_1\sigma_2}{\sigma_1-\sigma_2}$$
リターンとリスクの部分を定数 $\alpha$、$\beta$ で表すと以下になります。
$$\mu=\alpha\sigma+\beta , 1\ge\sigma\ge2$$
完全な順相関の場合、2資産のリターンとリスクの関係は、2つの資産を結ぶ直線で表すことができます。
逆相関(ρ=-1)の場合
逆相関とは、2つの資産の価格が逆の方向に動く関係にあることです。この場合、リスクは常に正の値を取るため、資産1の割合がある一定値 $w_c$($\equiv\sigma_2/(\sigma_1+\sigma_2)$)より多いか少ないかで、リスク②の形が異なります。
$$(1\ge w\ge w_c) \sigma=w\sigma_1-(1-w)\sigma_2$$
$$(w_c\gt w\ge0) \sigma=-w\sigma_1+(1-w)\sigma_2$$
従って、①よりリターンとリスクの関係は以下になります。
$$(1\ge w\ge w_c) \mu=\frac{\mu_1-\mu_2}{\sigma_1+\sigma_2}\sigma+\frac{\mu_2\sigma_1+\mu_1\sigma_2}{\sigma_1+\sigma_2}$$
$$(w_c\gt w\ge0) \mu=-\frac{\mu_1-\mu_2}{\sigma_1+\sigma_2}\sigma+\frac{\mu_2\sigma_1+\mu_1\sigma_2}{\sigma_1+\sigma_2}$$
$\mu_1\lt \mu_2$ として、リターンとリスクの部分を定数 $\alpha$、$\beta$ で表すと以下になります。
$$(1\ge w\ge w_c) \mu=-\alpha\sigma+\beta$$
$$(w_c\gt w\ge0) \mu=\alpha\sigma+\beta$$
完全な逆相関の場合、$w=w_c$ でリスク $\sigma$ は0になり、直線のグラフは折れ曲がります。
無相関(ρ=0)の場合
無相関とは、2つの資産の価格の動きに関係が無いことです。$\rho=0$ のとき、リスク②は以下で表されます。
$$\sigma^2=w^2\sigma_1^2+(1-w)^2\sigma_2^2$$
従って、①よりリターンとリスクの関係は以下になります。
$$(\mu_1-\mu_2)^2\sigma^2=(\sigma_1^2+\sigma_2^2)\mu^2-2(\mu_2\sigma_1^2+\mu_1\sigma_2^2)\mu+\mu_2^2\sigma_1^2+\mu_1\sigma_2^2$$
リターンとリスクの部分を定数 $\alpha$、$\beta$、$\gamma$ で表すと以下になります。
$$\sigma^2=\alpha\mu^2-\beta\mu+\gamma$$
リスク $\sigma$ は0にはならず、グラフは曲線を描きます。
