債券とは、社会的に信用力のある者が資金を調達する際に発行する有価証券で、借用証書の一種と考えれることもできます。
債券の売買
債券を購入し満期(償還期限)まで保有すると、購入者に所定の金額(額面価格)が返還(償還)されます。た、債券によっては、定期的に利払い(クーポン)が行われますが、利払い金額の額面価格に対する割合を表面利率(クーポンレート)と言います。
新発債の売買
新発債の売買では委託手数料は不要で、額面金額 $P$ に対する発行価額分 $K$ の金額を支払います。尚、発行価額は額面100円に対しての価格 $V$ で表されます。
$$V=P\cdot\frac{K}{100}$$
既発債の売買
取引所市場で売買される既発債には、売買に係る売買代金だけでなく委託手数料が必要です。また、買い手は売り手に経過利子を支払う必要があります。
債券の投資分析
割引債
割引債とは、償還期限に額面価格でのキャッシュフロー(償還)が確定している債券です。その場合、発行価格 $V$ と額面価格 $P$、及び、利回り(最終利回り、スポットレート $r$)の関係は以下になります。ここで例えば、償還期限が5年の場合、$T=5$ となります。
$$V=\frac{P}{(1+r)^T}$$
これは、将来のキャッシュフロー($P$)の現在価値($V$)を求める式になっています。つまり、額面価格は決められているため、金利が上がると債券価格は下がり、金利が下がると債券価格は上がる関係にあります。
尚、割引債の利回りは以下で求められます。
$$r=\Big(\frac{P}{V}\Big)^{1/T}-1$$
利付債
利付債とは、償還期限に額面価格でのキャッシュフローが確定しており、さらに定期的にクーポンが支払われる債券です。発行価格 $V$、額面価格 $P$、クーポン $C$、及び最終利回り $r$ の関係は以下になります。ここで例えば、償還期限が5年の場合、右辺の第1項は $i=1\sim5$ の和となります。
$$V=\sum_{i=1}^T\frac{C_i}{(1+r)^i}+\frac{P}{(1+r)^T}$$
これは、割引債と同様、将来のキャッシュフロー($P,C$)の現在価値($V$)を求める式になっています。
また、利付債は割引債の組合せ(ポートフォリオ)として考えうることが可能です。例えば、償還期限が5年の利付債の場合、償還期限が1~5年の5つの割引債の組合せと同等になります。
債券の利回り
デュレーション
デュレーションとは、金利の変化率に対する、債券価格の変化率です。デュレーションが大きいとは、金利の変動に対する価格の変動が大きい、つまり金利リスクが大きいことを表します。
$$デュレーション=-\frac{価格の変化率}{金利の変化率}$$
割引債のデュレーションを上の式で計算すると、満期までの残存年数に等しいことが分かります。このことより、償還期限の長い債権のほうが、金利リスクが大きいと言えます。
イールドカーブ
イールドカーブとは、横軸に残存期間、縦軸に債権の最終利回りをとったグラフです。右上がりの場合を順イールド、右下がりの場合を逆イールドと呼びます。
一般に短期の運用より長期の運用のほうが、金利リスクなど不確実性が増すため、このリスクを補償する分、短期金利より長期金利が割高(順イールド)になると考えられます。
また別の要因として、将来、金利が上がると予想される場合は順イールドになり、金利が下がると予想される場合は逆イールドになると考えられます。

