光電効果
光電効果(Photoelectric Effect)とは、物質(主に金属)に光を照射したときに、その表面から電子(光電子)が飛び出す現象のことです。
光電効果が発見された当時、二重スリットを通した光が干渉縞を作るなど、光は「波」であると考えられていました。しかし、波動理論では実験結果を説明できない3つの大きな問題がありました。
- 限界振動数
波動理論では、光を強く(波幅を大きく)すれば、時間が掛かっても電子は飛び出すと考えますが、実験結果では、特定より低い振動数の光はいくら強く当てても電子が出ません。
⇒振動数の高い光は、電子の運動エネルギーは増えるが、電流は変わらない。 - 電子のエネルギー
波動理論では、光を強くするほど電子に与えられるエネルギーも大きくなると考えますが、実験結果では、飛び出す電子のエネルギーは光の強さではなく振動数で決まります。
⇒明るい光は、電流は増えるが、電子の運動エネルギーは変わらない。 - 即時性
波動理論では、弱い光の場合、電子がエネルギーを蓄えるまでに時間が掛かると考えますが、実験結果では、光を当てた瞬間に電子が飛び出します。
光を当てると電子が発生するので、光のエネルギーが電子の運動エネルギーに移ったと考えるのが妥当です。波のエネルギーは、振幅(明るさに相当)の2乗に比例しますが、電子の運動エネルギーが光の明るさに関係ないとした実験結果は矛盾しています。
この現象は、20世紀初頭に量子力学が誕生する最大のきっかけとなりました。アルベルト・アインシュタインは1905年に光電効果の理論的な解明(光量子仮説)を行い、1921年にノーベル物理学賞を受賞しています。
光量子仮説
アインシュタインは、プランクの量子仮説を光そのものに適用し、光を $h\nu$ というエネルギーを持つ「光量子(光子)」の集まりとして振舞うと仮定しました。
$$E=h\nu$$
$E$ は光子1個のエネルギー、$h$ はプランク定数、$\nu$ は光の振動数です。光の明るさは光子の数で、光の振動数は光子1個のエネルギーに比例します。これにより、光電効果は以下のように解釈できます。
- 光子のエネルギーを増やすと、電子の運動エネルギーは増える(電子の数は変わらない)
- 光子の数を増やすと、電子の数は増える(電子の運動エネルギーは変わらない)
光電効果のエネルギー保存則
金属中の電子が光子を1個吸収した場合、光子のエネルギー $h\nu$ は、電子を金属から取り出すための最低限必要なエネルギー(仕事関数)$\phi$ と飛び出した電子の運動エネルギーに使われます。従って、エネルギー保存則は以下で表されます。
$$h\nu=\phi+\frac{1}{2}mv^2$$
物質波
光子以外の一般の物質の場合も、波としての性質を持つとの概念が導入されました。これを物質波(ド・ブロイ波)と呼びます。このとき、波長 $\lambda$ と運動量 $p$ の間には以下の関係式が成り立ちます。$m$ は粒子の質量、$v$ は速度です。
$$\lambda=\frac{h}{mv}=\frac{h}{p}$$


