道教とは

/東洋の思想

概要

道教とは、中国古代からの信仰を基盤とし、神仙思想を中心として、道家、易、陰陽、五行、卜占などを取り入れた宗教です。修行場所として静かな山中が選ばれることから、山岳信仰とも関係が深いとされています。

道教は、民衆の間から自然発生的に起ったので開祖は分かっていません。初めて教団的組織をとったのは、2世紀半ばの太平道と五斗米道とされています。太平道は黄巾の乱を起こして絶えましたが、五斗米道は天師道と改名して続いています。

特徴

道教の組織や体裁は仏教のそれに倣っており、寺院に当るものは道観(宮観)、僧に当るものは道士、大蔵経に当るものは道蔵と呼ばれています。

宇宙観と神々

宇宙は「無」から起こり、無から妙一、ついで三元が、最後に万物ができたとされます。さらに、三元からは三宝君(天宝君・霊宝君・神宝君)が現れます。三宝君はもとは元始天尊であると説かれ、元始天尊が最高神とされています。

尚、これらの高位の神々の下に、多くの神々が配されています。例えば、山や川などの自然、雨や風などの気象現象、黄帝・堯・舜などの伝説上の天子、秦の始皇帝や三国時代の関羽などの実在の人物も神とされて尊敬を受けています。

呪術と儀式

道教では、呪い、お札、お祓い、祈祷などの儀式が行われ、呪術的、現世利益的な傾向が強くあります。

呪いには、印を結んで呪文をとなえる方法や、神を呼び出し身を守る方法などがあります。お札は、除災招福、延命長寿、治病、魔除け、護身など様々な目的に応じて揃えられています。

養生術

道教の主な目的として不老長寿があります。神仙思想の書である「抱朴子」には仙人になる方法として養生法が説かれています。

例えば、五穀を避ける辟穀(へきこく)、草木や岩石などから作った薬を飲む服餌(ふくじ)、深呼吸の方法である調息、按摩のような導引(どういん)、性行についての房中(ぼうちゅう)などがあります。

倫理と戒律

倫理としては、忠・孝などの徳を積むこと、国法に従うことが挙げられますが、その内容的に儒教の影響を受けていることが覗えます。

また、仏教と同じく出家主義をとり、世俗を離れ、厳しい戒律に従った修行生活を送ります。

道徳経

道徳経の著者とされる老子が、道教の開祖と思われていることも少なくありませんが、実際は後から、道教の教理を補強するために取り入れられたものです。

道家の思想は、儒家の思想に対する逆説的なものが多く、「道」を中心に置き、人間の作為を信じず、自然のもつ力を信じ、従うことが重要とされています。このような「道・無為・自然」は後に道教に取り入れられることになります。

 

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