遺族年金とは

/年金・保険

遺族年金は、加入者または年金受給権者が死亡した場合に、生計維持関係など一定の要件を満たす遺族が給付を受けられ、遺族基礎年金(1階部分)と遺族厚生年金(2階部分)があります。

遺族基礎年金

遺族基礎年金の受給要件

遺族基礎年金は、以下に該当する者が死亡した場合に、要件を満たす遺族に支給されます。

  • 国民年金の被保険者
  • 国内に住所を有する60歳以上65歳未満の国民年金の被保険者であった者
  • 老齢基礎年金の受給権者(受給資格期間が25年以上)
  • 老齢基礎年金の受給資格期間が25年以上ある者

遺族基礎年金を受給できる遺族と順位は以下の通りです。いずれも、死亡当時に生計維持関係にあることが前提となります。但し、子のいない配偶者には受注権はありません。

  1. 子のある配偶者(夫または妻)
  2. 子(例えば、両親とも死亡した場合)

遺族基礎年金の給付額

遺族基礎年金の給付額は以下で計算されます。基本年金額は老齢基礎年金の満額です。

1956年4月1日以前に生まれ 給付額 = 基本年金額(792,600円)+ 子の加算額
1956年4月2日以後に生まれ 給付額 = 基本年金額(795,000円)+ 子の加算額

子の加算額は以下になります。3人目以降の子には、1人当たり 76,200円が加算されます。

子供の数 子のある配偶者が受給 子が受給(例:両親が死亡)
1人 228,700円
2人 228,700円 228,700円
3人目以降 76,200円 76,200円

寡婦年金

寡婦年金は、国民年金の第1号被保険者である夫が死亡した場合に、一定の要件を満たす妻に対して支給されるもので、妻の高齢期の生活保障と保険料の掛け捨て防止のための給付です。夫には支給されません。

寡婦年金の受給要件

寡婦年金の受給要件は以下の通りです。

  • 夫は、死亡月の前月までの第1号被保険者の受給資格期間が10年以上(2017年7月までは25年以上)であること。
  • 夫は、障害基礎年金の受給権者であったことがなく、老齢基礎年金を受給していないこと。
  • 妻は、夫の死亡当時に生計維持関係にあり、婚姻期間(内縁も可)が10年以上継続していること。
  • 妻は、夫の死亡当時に65歳未満であること。但し、60歳になるまでは支給停止。
  • 妻は、老齢基礎年金を受給していないこと。

寡婦年金の支給額

寡婦年金の支給額は、夫が65歳から受給できるはずだった第1号被保険者期間に係る老齢基礎年金の4分の3の金額になります。

$$\mbox{支給額}=\mbox{老齢基礎年金}\times\frac{3}{4}$$

死亡一時金

死亡一時金は、遺族基礎年金を受給できる遺族がいない場合に、一定の要件を満たす遺族に支給されるもので、保険料の掛け捨て防止のための給付です。

死亡一時金の受給要件

死亡一時金の受給要件は以下の通りです。

  • 死亡した者が、死亡した前月までの保険料納付済期間の月数、3/4免除期間の月数の1/4の月数、半額免除期間の月数の1/2の月数、1/4免除期間の月数の3/4の月数の合計が36月以上あること。
  • 死亡した者が、老齢基礎年金や障害基礎年金を受けたことがないこと。

死亡一時金を受けることのできる遺族は、死亡当時に生計を同じくしていた①配偶者、②子、③父母、④孫、⑤祖父母、⑥兄弟姉妹の順に受給権者となります。

死亡一時金の支給額

死亡一時金の額は、納付月数により異なります。納付月数は以下で計算されます。

納付月数 = 保険料納付済期間の月数 + 3/4免除期間の月数の1/4の月数
+ 半額免除期間の月数の1/2の月数 + 1/4免除期間の月数の3/4の月数

納付月数 一時金の額
36ヵ月以上 ~ 180ヵ月未満 120,000円
180ヵ月以上 ~ 240ヵ月未満 145,000円
240ヵ月以上 ~ 300ヵ月未満 170,000円
300ヵ月以上 ~ 360ヵ月未満 220,000円
360ヵ月以上 ~ 420ヵ月未満 270,000円
420ヵ月以上 320,000円

遺族厚生年金

遺族厚生年金は、厚生年金の被保険者であった者が死亡した場合に、一定の要件を満たす遺族に対して支給されます。

遺族厚生年金の受給要件

遺族厚生年金の受給要件は以下の通りです。

  • 厚生年金の被保険者(在職中)であること。
  • 厚生年金の被保険者であった者で、被保険者期間中に初診日のある傷病によって5年以内に死亡した場合であること。
  • 障害等級1級または2級の障害の状態にある障害厚生年金の受給権者であること。
  • 2017年7月までに老齢厚生年金の受給権者であった者であること。
  • 受給資格期間が25年以上ある者であること。

遺族厚生年金を受けることのできる遺族に範囲と順位は、①配偶者または子、②父母、③孫、④祖父母で、受給要件は以下になります。尚、兄弟姉妹は対象となりません。

  • 死亡していた者の収入によって生計を維持していた者(年収850万円未満)
  • 遺族が夫・父母・祖父母の場合は、死亡当時55歳以上の場合に受給権を取得し、支給開始は60歳からとなる。
  • 遺族が子・孫の場合は、18歳に達した後の最初の3月末日まで未婚の者、または20歳未満であって国民年金の障害等級1・2級の障害の状態にある未婚の者。

遺族厚生年金の支給額

遺族厚生年金の支給額は、死亡した者の報酬比例部分の老齢厚生年金額の4分の3に相当する額になります。

$$\mbox{支給額}=\Big(\mathrm{A}(\mbox{2003年3月以前})+\mathrm{B}(\mbox{2003年4月以降})\Big)\times\frac{3}{4}$$

$$\mathrm{A}=\mathrm{A}\mbox{の平均標準報酬月額}\times\frac{7.125}{1000}\times\mathrm{A}\mbox{の被保険者月数}$$

$$\mathrm{B}=\mathrm{B}\mbox{の平均標準報酬月額}\times\frac{5.481}{1000}\times\mathrm{B}\mbox{の被保険者月数}$$

 

公的年金とは
国民年金、厚生年金、共済年金、第1号被保険者、第2号被保険者、第3号被保険者、老齢給付、遺族給付、障害給付
FP
金融資産、年金・保険、税金、不動産、相続
散策路TOP
数学、応用数学、古典物理、量子力学、物性論、電子工学、IT、力学、電磁気学、熱・統計力学、連続体力学、解析学、代数学、幾何学、統計学、論理・基礎論、プラズマ物理、量子コンピュータ、情報・暗号、機械学習、金融・ゲーム理論

日本年金機構

 

タイトルとURLをコピーしました