ニュートン力学とは

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ニュートン力学

ニュートン力学は、古典物理の一分野で、質点(大きさの無い粒子)や剛体(大きさのある固い物質)の運動を扱います。ニュートン力学については、17世紀のニュートンの著作「プリンキピア」にその概要が記されています。

重要なものは、万有引力の法則と運動の法則になります。

万有引力の法則

ニュートンが、木からリンゴが落ちるのを見て万有引力を発見したという逸話は有名です。しかしニュートンの解釈では、リンゴは”下に落ちた”のではなく、リンゴと地球が互いに引っ張り合って、くっ付いたということになります。

万有引力の大きさは、2つの物質の質量の積に比例し、距離の2乗に反比例します。力の方向は、双方の物質の重心を結ぶ直線上に働きます。これを中心力と言います。

$${\bf F}=G\frac{mM}{r^2}\frac{{\bf r}}{r}$$

ここで $G$ は万有引力定数と呼ばれ、約 $6.67\times10^{-11}m^3/kg\cdot s^2$ となります。

運動の法則

ニュートンの運動法則は以下の3つから構成されます。力学の分野での多くの法則や定理は、基本的にはこの3つの法則から導き出すことができます。

  • 第1法則:慣性の法則
  • 第2法則:運動方程式
  • 第3法則:作用・反作用の法則
慣性の法則

第1法則の慣性の法則とは、質点は外力が働かない限り、静止か等速度運動を続けるというものです。ここで「慣性」とは、物の”質量”や”重さ”に近い意味で使われます。

また、外力の働かない質点が、静止または等速度運動になるように設定された座標系は、慣性系と呼ばれます。

運動方程式

第2法則のニュートンの運動方程式は以下で表されます。ここで、${\bf F}$ は力(Force)、$m$ は質量、距離 ${\bf r}$ の2階微分は加速度を表します。

$${\bf F}=m\frac{d^2{\bf r}}{dt^2}$$

この式は、同じ力なら質量の軽いものの方が速く加速され、また、質量の重いものほど加速させるのに大きな力が必要になることを表しています。

その物体に働く力と初期の状態が分かっていれば、ニュートンの運動方程式を解くことで、その後の運動を計算することができます。それが、空中に投げたボールであれ、太陽の周りを回る惑星であれ、ニュートンの運動方程式で未来を正確に予測することができます。

また、ニュートンの運動方程式は、力(force)を定義する式でもあります。つまり、1N(ニュートン)の力で1kg の物を引っ張ると、摩擦力などが働かなければ、1秒間に1m/s ずつ加速されることを表しています。

作用・反作用の法則

第3法則では、2つの質点の間に働く力(作用と反作用)は大きさが等しく、向きが逆になることを表しています。

質点1が質点2に力 ${\bf F}_{12}$ を及ぼしているときには、必ず同時に、質点2が質点1に力 ${\bf F}_{21}$ を及ぼしており、それらには以下の関係が成り立ちます。

$${\bf F}_{12}=-{\bf F}_{21}$$

先のリンゴの話を例にとると、地球がリンゴを引っ張る力と、リンゴが地球を引っ張る力は、大きさが同じで向きが逆となります。

力学的物理量

ニュートンの第2法則は質量、距離、時間、力の関係を表しますが、これを基に力学で使われる基本的な物理量を定義することができます。

速度

速度 $v$ は、一定時間 $\Delta t$ の間に距離が $r$ から $r’$ に変化した場合、以下で定義されます。

$$v=\frac{r’-r}{\Delta t}=\frac{dr}{dt}$$

加速度

加速度 $a$ は、一定時間 $\Delta t$ の間に速度が $v$ から $v’$ に変化した場合、以下で定義されます。

$$a=\frac{v’-v}{\Delta t}=\frac{dv}{dt}=\frac{d^2r}{dt^2}$$

運動量

運動量 $p$ は、質量 $m$ と速度 $v$ の積として定義されます。運動量は物体の動かしにくさとして体感されます。

$${\bf p}=m{\bf v}$$

ニュートンの運動方程式は運動量を使って以下のように書くことができます。これにより、力 $F$ が働かない場合は、運動量は保存される、つまり物体は一定速度のまま運動することが分かります。

$${\bf F}=\frac{d{\bf p}}{dt}$$

力積

力積(りきせき)は、力と時間の積 $F\Delta t$ で定義され、これは一定時間 $\Delta t$ の間に速度が $v$ から $v’$ に変化した場合の運動量の変化分に相当します。

$$F\Delta t=mv’-mv=\Delta p$$

角運動量

角運動量とは、ある地点(中心)から見た運動量です。位置 ${\bf r}$ を運動する質点の角運動量 $L$ は、以下で定義されます。

$${\bf L}={\bf r}\times{\bf p}$$

力のモーメント

力のモーメント $N$ は距離と力のベクトル積で定義されます。

$${\bf N}={\bf r}\times{\bf F}$$

角運動量の定義式の両辺を時間微分し力のモーメントを使うと、以下のオイラーの運動方程式が得られます。これは、角運動量の場合のニュートンの運動方程式に相当します。これにより、力のモーメントが働かない場合は、角運動量は保存されることが分かります。

$${\bf N}=\frac{d{\bf L}}{dt}$$

エネルギー

エネルギーとは仕事をすることのできる能力です。仕事とは、ある力(force)で、物体をある距離移動させた場合に発生します。エネルギー(仕事)の定義は以下になります。仕事 $W$ を行うことで、エネルギーの変化 $\Delta E$ が生じると考えます。

$$\Delta E=W=\int{\bf F}\cdot d{\bf r}$$

エネルギーの単位はジュール($J\sim N\cdot m$)です。1N(ニュートン)の力で1m移動させると、1ジュールの仕事(エネルギー)になります。

仕事率

仕事率 $P$ とは、単位時間当たりの仕事量(エネルギー)です。仕事率の単位はワット($W$)です。例えば、1秒間当たり、1ジュールのエネルギーを消費する電球は1ワットになります。

$$P=\frac{\Delta E}{\Delta t}$$

 

単位まとめ
力学系の単位、電磁気学系の単位、質量・長さ・時間・電流の4つ基本次元
物理学
力学、電磁気学、相対論、熱・統計力学、量子力学、物性論、電子工学、プラズマ物理、連続体力学、場の量子論、弦理論
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