概要
確定拠出年金とは、加入者自らの判断で掛金の運用先を決め、その運用結果に応じて将来の受給額が変動する制度です。2001年10月から導入され、企業型と個人型の2つがあります。
従来の確定給付型年金では、予定していた利回りで運用できなかった場合に、企業が負担する必要がありましたが、この点が大きく異なります。確定拠出年金の特徴は以下になります。
- 運用リスクは加入者本人が負う。
- 転職時などは積立てた残高を持ち出すことができる。
- 企業が実施して企業が掛金を拠出する企業型と、国民年金基金連合会が実施して個人が掛金を拠出する個人型(iDeCo)がある。
加入対象者
企業型の加入対象者は、企業型制度を実施している企業に勤める60歳未満の厚生年金被保険者、または年金規約に定めのある65歳未満の人です。
個人型の加入対象者は60歳未満で、以下の人が該当します。
- 国民年金の第1号被保険者(自営業者等)
- 厚生年金保険の被保険者である国民年金の第2号被保険者
- 国民年金の第3号被保険者(専業主婦等)
拠出限度額
企業型の拠出限度額は以下になります。掛金は原則として企業が拠出しますが、企業の拠出額を超えない範囲かつ上限金額の範囲であれば従業員が拠出することができます。
厚生年金基金・確定給付企業年金等を実施している企業に勤める国民年金第2号被保険者 | 年額33万円 (月額27,500円) |
企業年金制度を実施していない企業に勤める国民年金第2号被保険者 | 年額66万円 (月額55,000円) |
個人型の拠出限度額は以下になります。
自営業者などの国民年金保険第1号被保険者 | 年額81.6万円 (月額68,000円) |
企業年金に加入していない会社員(国民年金第2号被保険者) | 年額27.6万円 (月額23,000円) |
企業年金に加入している会社員(国民年金第2号被保険者)で、企業型確定拠出年金のみに加入している者 | 年額24万円 (月額20,000円) |
企業年金に加入している会社員(国民年金第2号被保険者)で、企業型確定拠出年金のみに加入している以外の者 | 年額14.4万円 (月額12,000円) |
公務員・私学共済加入者(国民年金第2号被保険者) | 年額14.4万円 (月額12,000円) |
専業主婦等(国民年金第3号被保険者) | 年額27.6万円 (月額23,000円) |
受給
確定拠出年金は、企業型・個人型いずれも60歳以降に年金または一時金として受給することが原則となります。但し、一定の要件を満たす場合は、脱退一時金や障害給付金などとして受け取ることも可能です。
老齢給付金
老齢給付金は、5年以上の有期または終身年金ですが、規約により一時金の選択も可能です。原則60歳に到達したときに受給できますが、その時点で加入者等期間が10年未満の場合は、支給開始年齢は以下になります。
- 8年以上10年未満 ⇒ 61歳
- 6年以上8年未満 ⇒ 62歳
- 4年以上6年未満 ⇒ 63歳
- 2年以上4年未満 ⇒ 64歳
- 1ヵ月以上2年未満 ⇒ 65歳
障害給付金
障害給付金は、5年以上の有期または終身年金ですが、規約により一時金の選択も可能です。70歳に到達する前に傷病によって障害状態になり、一定期間(1年6か月)を経過したときに需給ができます。
死亡一時金
死亡一時金は、加入者等が死亡したときにその遺族が遺産残高を一時金として受給できます。
脱退一時金
脱退一時金は、加入者であった者が脱退後、その者の拠出年数が3年以下、または一定の資産額の場合に受給できます。
企業型年金を資格喪失した後に企業型記録関連運営管理機構に請求するケースと、個人型記録関連運営管理機構または国民年金基金連合会に請求するケースがあり、いずれも一定の要件が満たす必要があります。
税制
確定拠出年金の課税は以下になります。
拠出段階 | 企業が拠出した場合は損金算入。個人型の場合は所得控除。 | |
給付 段階 |
老齢給付 | 年金は雑所得として公的年金等控除を適用。一時金は制度への掛金払込期間を継続期間とみなし、退職所得課税を適用。 |
障害給付 | 非課税。 | |
死亡一時金 | 相続税法上のみなし相続財産。 | |
脱退一時金 | 所得税、個人住民税を課税。 |

