IPv6は、IPv4のアドレス枯渇問題を解決するため、1995年に発行されたRFC1883などで規定されました。
IPアドレス
IPv6では、128ビットのIPアドレスを持ち、IPv4のアドレス空間が大幅に拡張されています。128ビットのIPアドレスは、2バイトごとにコロン(:)で区切って表記されます。尚、各区切りの先頭の0や、0ビットが続く場合は省略することができます。
2001:0db8:0000:0000:0000:ffff:0012:3456 (省略形)2001:db8::ffff:12:3456 |
IPv6では、自動的に自身が使うIPアドレスを生成して設定する仕組みがあるため、IPアドレスをユーザが設定する必要はありません。128ビットのうち、上位64ビットはルータから指定され、下位64ビットはコンピュータ自身が生成します。
IPアドレスの種類
IPアドレスは利用目的により、3つの種類に分かれます。
- ユニキャスト・アドレス
1対1の通信で利用される。 - マルチキャスト・アドレス
あるグループに属した複数台のコンピュータに同時にデータを送る場合に指定する。動画の同時配信などでの利用を想定している。 - エニーキャスト・アドレス
サーバの負荷分散などでの利用を想定している。このアドレスを指定すると、複数あるサーバの中から一番近い先を自動的に選択されるようになる。
IPv6ではブロードキャスト・アドレスはなくなり、その代わりにマルチキャスト・アドレスが利用されます。尚、マルチキャスト・アドレスとエニーキャスト・アドレスは、ユニキャスト・アドレスとは別に設定ができます。
ユニキャスト・アドレスはさらに3つの種類に分けられており、サイトローカル・アドレスとリンクローカル・アドレスについては、利用場所を限定して別の場所との重複が許されています。
- グローバル・アドレス
インターネット上で使うアドレスで、世界で一意である必要がある。 - サイトローカル・アドレス
ある組織内に閉じた通信に用いる。IPv4のプライベート・アドレスに相当する。先頭から48ビットは「fec0:0:0」に固定。 - リンクローカル・アドレス
ルータを介さず通信できる範囲(リンク)でコンピュータ同士の通信に利用する。ルータからの情報取得の際に利用されている。先頭から64ビットは「fe80:0:0:0」に固定。
IPパケット
IPv6のパケット構成は以下になります。
各フィールドの役割りは以下になります。
名称 | サイズ | 機能 |
バージョン | 4bit | プロトコルのバージョンを表す、IPv6では0x0110 |
トラフィッククラス | 8bit | IPパケットの優先度を表す。 |
フローラベル | 20bit | マルチキャスト通信において、通信経路の品質を確保したり、経路を優先的に選択させたりするために使用する。 |
ペイロード長 | 16bit | 拡張ヘッダとデータ部の合計サイズ。IPv6の基本ヘッダ部(40B)は含まない。 |
ネクストヘッド | 8bit | 拡張ヘッダや上位プロトコルのタイプを表す。 |
ホップリミット | 8bit | IPパケットが通過できるルータ数を表す。ルータを1つ通過するたびに1づつ減算される。 |
送信元IPアドレス | 128bit | 送信元の機器のIPアドレスを表す。 |
宛先IPアドレス | 128bit | 送信先の機器のIPアドレスを表す。 |
拡張ヘッダ | 0~ | 複数の拡張ヘッダが格納される。 |

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