不動産を譲渡した場合、条件により特別控除や軽減税率などが適用されます。
譲渡所得の計算
譲渡所得は以下で計算されます。
譲渡所得 = 譲渡収入 -(取得費 + 譲渡費用)- 特別控除 |
居住用財産を譲渡した場合の特別控除
居住用財産である土地や建物を譲渡した場合、譲渡益から3,000万円が控除されます。居住用財産を譲渡した場合の軽減税率と重複が可能です。但し、3年に1度の適用になり、前年や前々年に適用を受けた場合は対象外になります。
現在、自己の居住用である土地や建物の他、次の場合が特例の対象となります。
- 自己が居住しなくなった日から3年後の年末までの譲渡
- 家屋を取壊した日から1年以内に譲渡契約を締結
- 義父母→子の配偶者、兄→生計別の弟(譲渡後は同居できない)
但し、夫(妻)→妻(夫)、父(母)→子は対象外
相続した空家を譲渡した場合の特別控除
相続開始直前においてに相続人のみの居住用だった空家と敷地を相続(2023年12月31日まで)し、一定期間内に譲渡した場合、譲渡益から3,000万円が控除されます。但し、居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の対象外です。
適用の要件は以下になります。
- 1981年5月までに建築された家屋であること
- 相続の日から3年目の年末までの譲渡であること
- 譲渡対価の額が1億円以下であること
- 相続時から譲渡時まで事業用・貸付用・居住用に供されていないこと
- 新耐震基準に適合すること
被相続人が老人ホーム等に入所し、居住の用に供されなくなった家屋及び敷地は、次の要件を満たせば特例の対象となります。
- 被相続人が要介護認定等を受け、相続の開始直前まで老人ホーム等に入所していたこと
- 被相続人の入所の間に、事業用・貸付用・他者の居住用に供されていないこと
居住用財産を譲渡した場合の軽減税率
所有期間が10年を超える居住用財産である土地や建物を譲渡した場合、譲渡益の6,000万円以下の部分に対する税率が低くなります。
- 6,000万円以下の部分
所得税額 = 長期譲渡所得 × 10%
住民税額 = 長期譲渡所得 × 4% - 6,000万円超の部分(通常の税率)
所得税額 = 長期譲渡所得 × 15%
住民税額 = 長期譲渡所得 × 5%
本軽減税率は、居住用財産を譲渡した場合の特別控除とは重複適用可能ですが、相続した空家を譲渡した場合の特別控除とは重複適用できません。
取得費加算の特例
相続財産を取得した場合の取得費は、一定の相続税を取得費に加算できる特例があります。取得費は次のように計算されます。
取得費 = 譲渡資産の取得費 + 設備費・改良費 - 減価償却相当額
自宅等の非業務用資産の減価償却相当額は以下で計算されます。
減価償却相当額 = 所得費等 × 0.9 × 旧定額法の償却率 × 経過年数
固定資産の交換
同種の固定資産を交換した場合、交換で譲渡した資産の譲渡益はなかったものとし、特例として課税を将来へ繰り延べることができます。適用要件は以下になります。
- 同種の固定資産であること
- 両者が1年以上有しており、交換のために取得したものではないこと
- 差額が高い方の価額の20%相当額以内であること
譲渡益については以下のように考えます。
- 譲渡資産の価額 ≦ 取得資産の価額
⇒譲渡は無かったものとされます - 譲渡資産の価額 > 取得資産の価額
⇒交換差金について譲渡が有ったものとされます

