リーマン曲率テンソルとは

/幾何学

リーマン曲率テンソル

リーマン曲率テンソルとは、空間の曲率を表すテンソルで、平らな空間の場合は0になります。リーマン曲率テンソルは、2階の共変微分の順序を入れ替えた際の差分を表します。

$$A_lR_{ijk}^l=A_{i:j:k}-A_{i:k:j}  -①$$

ここでリーマン曲率テンソル $R_{ijk}^l$ は以下で定義されます。

$$R_{ijk}^l\equiv\Gamma_{ik,j}^l-\Gamma_{ij,k}^l+\Gamma_{ik}^m\Gamma_{mj}^l-\Gamma_{ij}^m\Gamma_{mk}^l  -②$$

共変微分については、次の記事を参照ください。

https://www.sansakuro.com/057

リーマン曲率テンソルを導く

リーマン曲率テンソル(①)は共変微分の定義である2つの式、

$$A_{i:j}=A_{i,j}-\Gamma_{ij}^lA_l  -③$$

$$T_{ij:k}=T_{ij,k}-\Gamma_{ik}^lT_{lj}-\Gamma_{jk}^lT_{il}  -④$$

を使って確認することができます。まず、①の右辺1項の $A_{i:j}$ をテンソルとみなし、④を使うと、

$$A_{i:j:k}=A_{i:j,k}-\Gamma_{ik}^lA_{l:j}-\Gamma_{jk}^lA_{i:l}$$

これに共変微分に③を使うと、

$$A_{i:j:k}=(A_{i,j}-\Gamma_{ij}^lA_l)_{,k}-\Gamma_{ik}^l(A_{l,j}-\Gamma_{lj}^mA_m)-\Gamma_{jk}^l(A_{i,l}-\Gamma_{il}^mA_m)$$

次に同様にして $A_{i:k:j}$ を求めると、

$$A_{i:k:j}=(A_{i,k}-\Gamma_{ik}^lA_l)_{,j}-\Gamma_{ij}^l(A_{l,k}-\Gamma_{lk}^mA_m)-\Gamma_{kj}^l(A_{i,l}-\Gamma_{il}^mA_m)$$

①の左辺($A_{i:j:k}-A_{i:k:j}$)を計算し、$A_{i,j,k}=A_{i,k,j}$ と $\Gamma^l_{jk}=\Gamma^l_{kj}$ を利用すると、①の右辺(リーマン曲率テンソル)が導かれます。

対称性

リーマン曲率テンソルは次の対称性を持ちます。

$R_{ijkl}=-R_{ijlk}  -⑤$
$R_{ijkl}=-R_{jikl}  -⑥$
$R_{ijkl}=R_{klij}=R_{lkji}  -⑦$
ビアンキの関係式とは
ビアンキの恒等式、リーマン曲率テンソル、クリストッフェル記号、共変微分、添え字の巡回置換

まず、⑤はリーマン曲率テンソルの定義より明らかです。

⑥と⑦の導出

リーマン曲率テンソルの定義より、

$$R_{ijkl}=g_{in}R^n_{jkl}=g_{in}\Big(\Gamma_{jl,k}^n-\Gamma_{jk,l}^n+\Gamma_{jl}^m\Gamma_{mk}^n-\Gamma_{jk}^m\Gamma_{ml}^n\Big)$$

右辺第1項に次の関係を使うと、

$$g_{in}\Gamma^n_{jl,k}+g_{in,k}\Gamma^n_{jl}=(g_{in}\Gamma^n_{jl})_{,k}=\Gamma_{ijl,k}$$

以下になります。

$$R_{ijkl}=\Gamma_{ijl,k}-g_{in,k}\Gamma^n_{jl}+\Gamma_{jl}^n\Gamma_{ink}-\{k,l\mbox{ 交換項}\}$$

ここで、右辺第3項の $m$ は $n$ に置換えています。次に、クリストッフェル記号の定義より得られる関係式 $\Gamma_{ink}+\Gamma_{nik}=g_{in,k}$ を使うと、

$$R_{ijkl}=\Gamma_{ijl,k}-\Gamma_{nik}\Gamma^n_{jl}-\{k,l\mbox{ 交換項}\}$$

$$=\Gamma_{ijl,k}-\Gamma_{nik}\Gamma^n_{jl}-\Gamma_{ijk,l}+\Gamma_{nil}\Gamma^n_{jk}$$

$$=\frac{1}{2}(g_{il,jk}-g_{jl,ik}-g_{ik,jl}+g_{jk,il})+g^{mn}(\Gamma_{nil}\Gamma_{mjk}-\Gamma_{nik}\Gamma_{mjl})$$

第1項について、$i,j$ の交換に対して反対称であることが分かります。第2項についても、$n,m$ は入れ替えることができるので、$i,j$ の交換に対して反対称になります。さらに、⑦についても成り立つことが分かります。

 

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